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6戦19発 の量産態勢       新生山雅が「開花宣言」

〝緑のケチャップ〟が止まらない。松本山雅FCは第5節から第10節までの6試合連続で複数得点を記録しており、その数は実に19(第10節終了時点)。J2クラブもひしめくJ2・J3百年構想リーグEAST|Bグループで、たくましく存在感を放っている。 

 起点はやはりハイプレスだ。石﨑信弘監督が就任以来徹底してきた前線からの守備が、得点に直結している。前かがみにスタンバイし、猛禽類のような視線でボールホルダーを射すくめる。かわされても追随し、連動して袋小路に追い込む。高い位置で奪い切ればそのままショートカウンター。ミスを誘発してもセットプレーのチャンスが生まれる。福島ユナイテッドFC戦では攻守の循環がピタリとはまり、相手の寺田周平監督も「松本の良さが非常に出たゲームになってしまった」と完敗を認めるほどだった。
 攻撃の武器が多彩なのも見逃せない。セットプレーではMF澤崎凌大とMF村越凱光のキック精度に、DF小田逸稀やFW加藤拓己のヘッドが合う。福島戦では小田がニアに行くそぶりを見せてファーへ回り、マークをはがして2戦連発弾を決めた。「相手が僕のニアをすごく警戒しているのは分かっていた。狙った形だった」と小田。対策を上回る引き出しの多さが、セットプレーの破壊力を支えている。


 オープンプレーでも再現性が高まった。アンカーの深澤佑太がボールを散らし、ウイングバックと3バックの両脇が幅を効かせ、インサイドハーフがペナルティーエリアに侵入する。福島戦の2点目は深澤を起点に小田、村越を経由してMF安永玲央がループシュートを沈めた。RB大宮アルディージャ戦では村越の代名詞とも言える左足のゴラッソに加え、左のDF樋口大輝がドリブルで仕掛けてクロスからアシストを記録。右の小田だけでなく左からも崩せるようになったことで、相手の的が絞りにくくなった。

 J2の札幌と大宮を倒した意味も大きい。札幌戦は11,162人の前で3発快勝。大宮戦では開幕戦の敗戦からわずか2カ月で4得点を奪い返し、加藤が2ゴールの大暴れ。プレスに関しても前線からの貢献度は高く、「単純に『取りにいく』。それだけ。相手に自由にサッカーをさせないのが一番大事」。その姿勢が、カテゴリーの壁を打ち壊している。

 もちろん課題もある。FC岐阜戦ではクロス対応の甘さから2失点を喫し、いわきFC戦では終了間際に追いつかれてPK戦で苦杯をなめた。それでもチームは歩みを止めない。石﨑監督は大宮戦の後も「まだまだできると思っている。もっとトレーニングしていかなければいけない」と高みを追い求めた。6試合19得点の裏にあるのは、キャンプから積み重ねてきた厳しい日々。練習は嘘をつかない――。その信念が、ピッチの上で花を咲かせ始めた。

取材/大枝令