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過去最強のチームへ “3つの柱”で補強

AC長野パルセイロの2023シーズンが始動した。シュタルフ悠紀監督体制1年目の昨季は8位。今季こそ悲願のJ2昇格をつかむべく、指揮官は「過去最強のチームを作らないといけない」と意気込んでいる。

 オフシーズンの補強を見ても、その覚悟は伝わってくる。前主将の水谷拓磨が上位カテゴリーに移籍したが、既存戦力の流出を最小限に抑えた。その上で新加入選手を13名獲得。1月14日に行われた新加入選手記者会見で、村山哲也強化アドバイザーは補強方針の柱を3つ挙げた。

 1つ目は「クオリティのある選手を可能なかぎりコストをかけずに獲得すること」。浦和レッズ(J1)からFW木原励、横浜F・マリノス(J1)からDF西田勇祐、東京ヴェルディ(J2)からDF佐古真礼と、上位カテゴリーの有望株が育成型期限付き移籍で加わった。ビッグクラブも認める高いポテンシャルを備える彼らの存在は、チームのクオリティを一段上げ、激しい競争に繋がるはずだ。

 2つ目は「J3での出場時間や結果を残した選手を補強すること」。昨季のJ3で4ゴール8アシストを挙げたMF近藤貴司、J3通算91試合の出場を誇るDF砂森和也らが加わった。とりわけ注目を集めたのは、昨季のJ3で31試合に出場したDF大野佑哉だ。ライバルクラブである松本山雅FCから“禁断の移籍”。「ダービーの客寄せパンダとして来たわけではない。このチームをJ2に上げるために来た」と相応の覚悟を示しており、新たなDFリーダーとして期待がかかる。
 3つ目は「チームの若返りを図るとともに長野らしさを前面に出すこと」。U-18チームから長野市出身の鈴木悠太、松本大学から安曇野市出身の青木安里磨を加え、県内出身選手が7人となった。既存戦力は背番号を変更し、千曲市出身の山中麗央が24番から10番、諏訪市出身の藤森亮志が25番から9番、長野市出身の小西陽向が28番から13番に。地元を背負う覚悟を再認識し、新シーズンに入った。

 与えられた材料は必要十分。あとはシュタルフ監督がどう調理するか。「就任からずっと言っているが、私はタイトルを獲りに長野へ来た。その気持ちは微塵も変わっていない」と指揮官。2位以内での「昇格」はもちろんだが、目標はあくまで「優勝」と強気だ。

 チームは1月24日から静岡県御殿場市でキャンプをスタートし、3月上旬にリーグ開幕を迎える。

取材・撮影/田中紘夢