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苦しみながらJ3残留         来季へ再構築は必須

望み通りにはいかなかったが、「残留」という2文字はつかんだ。
 J3リーグ第36節。勝てば自力での残留を決められる中で、ホーム・長野Uスタジアムにテゲバジャーロ宮崎を迎えた。前半終了間際に自陣でのボールロストから先制されると、後半に取り返す勢いもなく0|1と敗戦。サポーターが掲げた「共に掴み獲る」という横断幕のメッセージに報いるには、程遠い結果だった。

 「結果がすべてと言うならば0点。だけど内容に関して言えば、勝てなかったから0点という気にはならない」と藤本主税監督。左サイドを中心に人とボールが繋がる場面は見られたが、回数自体は少ない。敵陣に運んでもクロスの精度を欠いたり、シュートに至らなかったりと、ゴールを脅かせなかった。

 翌日に最下位の沼津が敗れて残留が決定。最後は他力に身を委ねる形となり、自力で決められるパワーはなかった。長らくリーグ最少得点に陥り、攻撃の形を見出せないまま最終盤へ。選手たちのプレーにも迷いが生じていた。
 「やっぱり目が合わなかったら、ボールが来ないのも分かる。どうしても前と後ろで目線が合っていないので、そこはしっかり合わせていく必要がある」。1トップの進昂平が言うように、なかなか攻撃の目線が揃わなかった。

 前線には決定力の高い進や個人技に長けた藤川虎太朗が待ち構えるも、そもそもボールが入らない。チームとしていかにボールを運び、どのように仕留めるのか。ピッチに立つ11人が同じ絵を描けず、右サイドで安藤一哉の単騎突破に頼らざるを得なかった。

 藤本監督にとって、トップチームでの指揮は初挑戦。プレシーズンから試行錯誤を重ね、シーズン中にもシステムや戦術のマイナーチェンジを図ったが、良い方向に進んだとは言いがたい。指揮官を的確にサポートできる組閣にあったかどうかも、甚だ疑問が残る。
 それでも残留をつかめたのは、藤本監督の〝モチベーター〟としての役割も大きかった。残留争いの渦中においても、選手から「主税さんを勝たせたい」という言葉が聞かれ、ベテランの加藤弘堅や砂森和也も屋台骨となった。結果と内容はさておき、チームビルディングには一定の成果もある。

 来季は秋春制への移行に伴い、半年間の特別大会となる。昇降格がない中で、若手の育成にも目を向けながら、いかにスタイルを形づくるか。とりわけ攻撃の再構築は必須だ。選手たちが躍動し、サポーターが沸き上がるようなサッカーを見たい。

取材/田中紘夢