3月14日、信州ダービーの歴史が塗り替えられた。松本山雅FCはアウェイの長野UスタジアムでAC長野パルセイロに5ー0。開始2分のセットプレー弾を皮切りに前半4ゴールを挙げると、2試合連続のクリーンシートで2連勝。リーグ戦では2007年7月1日以来、実に19年ぶりとなるアウェイ長野での白星をもぎ取った。

練習の成果が、そのままピッチで表れた。ハイプレスとカバーリング、そして土台となるフィジカル強化。石﨑信弘監督はそれらを重視し、就任以降は徹底的に植え付けを図ってきた。

例えば横パスの選択肢を自然と排する設定のトレーニング。乳酸が溜まったギリギリの状態でもスプリントをかけて前に出ることが求められる。選手たちが口々に「キツい」と言い、1セット終わるたびに倒れ込む。そんな負荷が、前への意識と体力を同時に植え付けてきた。鹿児島キャンプから積み重ねてきた厳しい日々が、ダービーの舞台で鮮やかに結実した。

先制点からして、練習の賜物だった。2分、澤崎のCKにニアで小田が競り、混戦から白井が押し込んだ。「(澤崎)凌大からいいボールが来るのはわかっていたし、(小田)逸稀が触るのもわかっていた。ファーの選手たちはあれで押し込むだけ…という状態だった」と白井。澤崎も「チームのみんなも信じて入ってきてくれるので、こういう結果になっていると思う」と語った。
カウンターも同様だ。35分の3点目は加藤のヘディングクリアを起点に村越と澤崎が互いを追い越し合い、最後は村越が仕留めた。石﨑監督は「ボールを奪った時にチャンスがあれば後ろに下げるのではなくて前にボールを動かしていくところと、(味方が)前向きにボールを持った時は積極的に追い越していくところが今日はうまく出た」。シンプルに、鮮やかに実行される。それこそがトレーニングの蓄積だ。

4-0で後半に折り返してもなお、誰一人として気を緩めなかった。「ハーフタイムでも、本当にそれこそ誰一人として気を抜いたりとかは全くなかった」と村越。この貪欲さとメンタリティもまた、日々の練習で培われたものだ。澤崎は「試合に出ている選手はもちろん、出ていない選手たちが今日の相手より強い強度でやってくれていることで、こういう結果になっている。チーム全員で勝ち取った勝利だと思う」と話した。

石﨑監督は試合後の記者会見で、「順調とは言いたくない。まだまだできると思っている。もっともっとトレーニングしていかなければいけない」と言い切った。圧勝の後もさらなる高みを追い求める。それこそが、リニューアルした松本山雅の現在地にほかならない。

取材/大枝令
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