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熟成を深めて3年目のB1へ 信州ブレイブウォリアーズ

バスケットボールの信州ブレイブウォリアーズが、B1で3年目のシーズンを迎えた。今季は新加入選手を2人に絞り、従来からの継続性を重視した11人でスタート。互いにプレースタイルを知る顔ぶれを軸に据えながら、勝久マイケル・ヘッドコーチ(HC)の思い描く緻密なバスケをさらに熟成させていく。


 「しっかりプロセスを大事にすれば、去年よりも強くなれる。もっといいチームになる可能性を秘めている」。9月4日に長野市芸術館で開かれたTIP OFFイベントの終了後、勝久HCはそう強調した。指揮官が手ほどきするバスケは戦術的に高度で、加入1年目で体得するのはプロ選手でさえ至難。だからこそ、シーズンをまたいで理解を深めていくことが、そのままチーム力の上積みにつながる。
 特に、昨季加入した岡田侑大、前田怜緒、熊谷航の3人が経験を積んで成長しながら2年目を迎えられたのが大きい。「2年目になって戦術も理解できているので、すんなり入れている」と熊谷。この3人に加えてシーズン途中に加わったマシュー・アキノも含めた4人は、いずれも日本代表候補に選ばれた。


 三ツ井利也や栗原ルイス、ジョシュ・ホーキンソンなどそれ以前から在籍する選手は、もちろん中軸としての活躍が期待される。最古参で日本人最年長の三ツ井は、「今年で7シーズン目。笑って終われるように頑張りたい」と意気込みを語る。アンソニー・マクヘンリーとウェイン・マーシャルのベテラン2人は今季も主将を務め、信州を支える柱となる。
 ここに加わった新加入選手は、生原秀将とサイモン拓海の2人。生原はリーダーシップや泥くさいプレーなどを期待されての加入で、「そこを発揮するのはもちろんだけど、まずはしっかり戦術を理解しないと」と適応を急ぐ。3点シュートの精度が高い大卒ルーキーのサイモンは、試練のプロ1年目となるだろう。


 昨季は28勝26敗と勝ち越しで終え、西地区5位。B1参入1年目の2020-21シーズンより成長した姿を見せた。ただ、チャンピオンシップ(CS)にはわずかに届かず。前田は「今年は絶対にCSに出場したい」と気迫をみなぎらせ、栗原も「1日1日を大切にし、為本一を目指していく」と力強い。

 緻密なディフェンスを基盤とし、外角から射抜くスタイルは不変。ただ、攻撃の細部などには改良を加えて新たな上積みも狙う。10月1日、ホワイトリングでのアルバルク東京戦でシーズンが開幕。就任5年目の智将は「長いシーズン、最後にどこが一番強いか――が勝負。何があってもその目標を忘れず、『日々成長』を忘れずに取り組んでいけたら」と決意を語る。

取材・撮影/大枝令