J3リーグはいよいよ終盤戦に差し掛かった。AC長野パルセイロは目標の残留に向けて、目の前の一戦に注力し続けている。
〝クラブ最大の危機〟と言っても過言ではないのかもしれない。第26節のSC相模原戦に敗れると、20チーム中19位に転落。J3・JFL入れ替え戦に回る可能性のある危険水域に達した。J3に降格制度が導入された2023年以降、〝降格圏〟に足を踏み入れるのは初めてだった。
「情けないし、恥ずかしいし、穴があったら入りたいくらい。プライドなんてズタズタだけど、そんなものは全部捨てて、とにかく残留に向けて一致団結しようと。そこは恥ずかしがらずに、堂々とみんなの前で話をした」

就任1年目の藤本主税監督は、選手たちに向けて「残留」という2文字を強調。チームキャプテンとゲームキャプテンの6人もミーティングを行い、それぞれの意見を集約した。誰一人として状況を軽んじてはいない。
足かせとなっているのは、深刻な得点力不足だ。第27節終了時点で挙げた20得点はリーグ最少。ワースト2位のガイナーレ鳥取とは5点差が開いている。決してチャンスがないわけではないが、その数や決定力、あるいは思い切りの良さに欠ける。
第27節の鳥取戦でも課題を露呈した。リーグ最少得点のAC長野と、それに次ぐワースト2位の鳥取。得点力不足のチーム同士、どちらが先制点を奪うかがカギを握っていた。
開始早々の3分に長野が先制。ロングスローを相手がクリアし、落下点に待ち構えた長谷川雄志が左足でダイレクトボレーを沈める。思い切りの良いゴールで順調な出だしとなったが、その勢いも長くは続かない。前半のうちに追いつかれ、後半も勝ち越しが遠く1―1のドローに終わった。


「先制点を取れたことによる安心感というか、点を取られたくないという思いが強くて、後ろに下がったところはあると思う。スタートからパワーを持って行ってくれたので、オーバーペースが負担になっている印象もあった」
藤本監督が言うように、安堵感や消耗感が失点を招いた。得点力不足もさることながら、90分を通じた試合運びにも課題を抱える。
不幸中の幸いは、選手たちが疑念を抱いていないことだ。藤本監督のもとでプレシーズンから積み上げてきた8カ月。人とボールが動く躍動感のある攻撃や、アグレッシブな守備は形になっている。あとは己を信じ、一喜一憂せずに戦い抜けるか。すべては自分たち次第だ。




取材/田中紘夢
プロスポーツ
