「本当に一皮剥けた感じはある。セカンドボールに対しての反応もそうだし、もう一回自分たちの攻撃に持っていけるところが増えてきた」。藤本主税監督は松本とのダービーに勝利したのち、チームの成長ぶりに目を細めた。

J3リーグで勝負の後半戦を迎えたAC長野パルセイロ。前半戦は20チーム中16位で折り返したものの、ラストゲームで首位のFC大阪に引き分けるなど、確かな感触はあった。
第19節のFC大阪戦は0―0のスコアレスドロー。ロングボールを多用してくる相手に対し、セカンドボールの回収に注力する。そこからターレスのスピードを生かしたカウンターなどでチャンスを演じた。ゴールこそ奪えなかったが、リーグ最多得点を誇る首位から堂々の無失点。被シュート数も相手にとって今季最少の3本に抑えた。



後半戦初戦となった第20節もザスパ群馬に0―0。ボール保持率1位の相手に対し、ボールは握らせてもペースは握らせない。前半にはPKを獲得し、後半にも度重なる決定機を迎えたが、いずれも報われず。2試合連続でスコアレスドローに終わった。
得点を取られないが、取れもしない状況。第21節の松本山雅FC戦は、分水嶺にもなり得る試合だ。街と街の誇りを懸けた〝ダービー〟。今季の対戦成績が1分1敗であることを踏まえても、勝利だけが求められた。
ホーム・長野Uスタジアムに10,677人の観衆が集った一戦。立ち上がりからサポーターの声援を背に圧倒し、開始早々の5分に進昂平が先制点を奪う。前半を優勢に進めて折り返した。後半は一転して劣勢に立たされるも、2試合連続無失点の守備が集中を切らさない。攻守ともに噛み合って1―0の勝利。ホームで宿敵を破り、歓喜の渦に包まれた。
「球際とセカンドボール。J3というリーグはそこに尽きると思うので、FC大阪戦からの数試合は特に意識した。そこはチーム全体としても上がってきているし、相手に流れを持っていかれなかったのは大きい」。ボランチの長谷川雄志は手応えを話す。
戦術うんぬん以前に、藤本監督が強調するインテグラル(必要不可欠)な要素を体現。「それがあるからこそ戦術が成り立つわけで、そういうものを安定して出せるようになってきた」と指揮官は称える。
ダービーという大舞台で内容と結果が伴い、珠玉の成功体験を得た獅子たち。後半戦での巻き返しに弾みをつけた。ここから継続と進化を求め、昇格争いに食らいつけるか。ただひたすらに千尋の谷を駆け上がる。



取材/田中紘夢
プロスポーツ
