地域スポーツ

松本市初の中学生男子バレーボールクラブ チームKANAME

男子中学生を対象とする松本市初のバレーボールクラブ「チームKANAME」が昨年11月、発足した。現在は24人で活動し競技に打ち込む日々。指導する唐澤要(かなめ)コーチは「経験の長い選手から未経験の子まで全員拾い上げたい」と、門戸を広く構えながらチームを運営していきたい考えだ。
 唐澤コーチは、小学生男子チーム「松本ヴィガフェニックス」でも指導者を務める。卒団生から「中学校の部活が少ないから、中学生を対象とした練習会をやってほしい」と要望を受けたことが、チームKANAMEの立ち上げに繋がった。昨年5月から週1回の練習会を開催すると、部活動の時間や練習量の減少が想像以上に早く進む現状に直面した。いずれ完全に地域移行される前に子どもたちの受け皿を作ろうと考え、半年後には正式にチームとして活動を始めた。
 赤澤龍(りゅう)宙(と)主将は、小学生時代から唐澤コーチの指導を受けている選手。「みんなや自分が気付かないことをコーチが細かく教えてくれて、目に見えてうまくなっていくのがわかる」と魅力を語ってくれた。その成長ぶりが好評を博してか、「一緒にうまくなろう」と新たな仲間を誘って徐々に人数を増やしたという。保護者も「学校の大会でスパイクを打てば決まるような場面でも、ここではそうはいかない。レベルが高いのを感じる」と話してくれた。
 スキルアップのためにこだわっているのは、筋道を立てた指導方法にある。「自分は(バレーがうまいとは思っていない。だから、できない子の気持ちが分かる」と唐澤コーチ。「1つのミスに対して『どうすればできるのか』は、感覚ではない部分で考えないと分からない。だから理屈で指導するようになった」。一人ひとりに向き合い、課題を言語化してアドバイスを送る。「子どもがすごく好きで、仲良くなるのが早い」という気さくな人柄も、雰囲気づくりに一役買っている。
 チームはバレーボール初心者も半数以上を占める。今後はまずクラブチーム主体の大会出場を目指すが、大会自体が少ないため主催も視野に入れているという。「いずれ完全に部活動が地域移行してクラブチームが主流になるとしたら、やっぱり『勝てる』チームでいたい」と唐澤コーチ。今後の展望について「個人的には、勝ちにこだわって負けるからこそ感じるものがあると思う。やるときはやる、遊ぶときは遊ぶ。メリハリのある雰囲気で楽しく強くなっていけたら」と話した。
 会員は随時募集中で、毎週水、土、日曜日の夜に開催される練習日程の全てに参加可能な「クラブ会員」と、月に4回まで参加可能な「スポット会員」のどちらかを選択可能。無料見学や体験(1回につき中学生500円、小学生300円)も受け付ける。

【唐澤要コーチ】

子どもがすごく好きで関わりたいと思ったことが、指導を始めたきっかけ。もともと小学生を教えていたので、未経験の子がいきなり来ても全く問題ありません。いろんな子が参加してきているので、この環境で練習できるというだけでも価値があると思っています。

【赤澤龍宙主将(1年生・高綱中):ミドルブロッカー】

小学2年生からバレーを始めて、ずっと要コーチに教えてもらっています。初心者でもちゃんと優しくコーチが教えてくれるので、ぜひ来てもらいたいです。

取材・撮影/佐藤春香