特別なシーズンが幕を開けた。
今季は秋春制への移行に伴い、2月から6月までのハーフシーズン。J2とJ3の40クラブが4グループに分かれてリーグ戦を行う。J3所属のAC長野パルセイロにとって、格上相手と日常的に試合をこなせる貴重な機会だ。
「自分たちはどう考えてもチャレンジャー」と安藤一哉。昨季のJ3で20チーム中19位に終わり、EAST―Bグループの10チームにおいても最も下の立場だ。昇降格のないレギュレーションを踏まえても、失うものは何もない。

就任2年目を迎えた藤本主税監督は、チーム始動日に「とにかく躍動感のある、流動性のあるサッカーがしたい」と決意を口にした。リーグ最少得点に終わった昨季を踏まえ、まずは攻撃の手数を増やすのが最重要課題。システムを3―4―2―1から4―4―2に変え、バランスの取れた配置からいかに動き、相手を混乱させるか。その狙いは開幕戦でも見て取れた。
J2のジュビロ磐田に対し、前半から左サイドを制圧。サイドハーフの近藤貴司とサイドバックの田中康介が、内側と外側を使い分けてスペースを共有する。新加入のセンターバック・附木雄也の好配球も相まって、何度も高い位置に進入した。90分を終えて0―0でPK戦の末に敗れたが、攻撃の起点となった田中は「(近藤)貴司くんとの関係は日に日に良くなっている。お互いに入れ替わり立ち替わりながら、相手を休ませなかった」と手応えを話す。



とはいえ、攻撃の改善がゴールに結びついていないのも事実だ。第2節のヴァンフォーレ甲府戦は0―2。開幕戦に続いて無得点で2連敗となった。甲府の高強度な守備に苦しんだこともそうだが、クロスを上げられるタイミングを逃したり、前を向けるところで後ろに下がったり――。消極的な選択が目立ち、シュート数も4本と伸び悩んだ。
「そこは仕組みではない。もっと前に(縦パスを)刺せるシーンだったり、前進できるチャンスは明らかにあった。それを選ばなかったことがすごくショック」
試合後に不満を募らせた藤本監督。仕組みを整えるだけでなく、選手たちのマインドも変えなければ、ゴールには近づけないと再認識した。相手がJ2のチームとなればなおさらだろう。
繰り返しになるが、長野はそもそも下の立場であり、失うものは何もない。格上相手にチャレンジする姿勢を忘れてしまえば、成長を加速させる成功体験は得られない。この半年間を生かすも殺すも自分たち次第だ。

取材/田中紘夢
