プロスポーツ

大敗から立ち直り “特別な一戦”を制す

「難しい状況の中で、選手たちがよくチャレンジしてくれた」。そう語るシュタルフ悠紀リヒャルト監督の眼差しは、いつも以上に鋭かった。
 AC長野パルセイロは第6節、アウェイのY.S.C.C横浜戦で1-0と競り勝った。指揮官と佐藤祐太、池ヶ谷颯斗、宮本拓弥、大内一生の4選手にとっては、古巣への凱旋試合。さらに前節、ホームでいわきFCに0-4と大敗しており、悪い流れを断ち切らなければならなかった。


 試合は18分、左サイドで佐藤祐太がこぼれ球を回収。ドリブル突破からクロスを上げたものの、DFに阻まれる。シュタルフ監督が「打ってもよかった」というこのシーンを含め、前半はアタッキングゾーンで積極性を欠き、シュート3本に終わった。
 0-0で迎えた後半、途中出場の選手が流れを変える。左サイドに杉井颯とデュークカルロスを据え、サイド攻撃が活性化。76分には杉井のクロスから山本大貴が2度シュートを放つと、最後はデュークカルロスがゴール右隅に押し込んだ。「控えの選手たちはギラギラしていたので、信じて使うだけだった」と指揮官。途中出場の3選手が得点に絡み、これが決勝弾となった。

 2試合ぶりの勝利に加え、守備でも開幕戦以来5試合ぶりとなるクリーンシート。池ヶ谷は「前節に0-4で負けていて、大事な一戦だと思っていた。無失点で勝ててうれしい」と笑みをこぼす。シュタルフ監督も「他の試合に勝つ喜びとは多少違った」と、慣れ親しんだ地で感慨に浸った。

取材/田中紘夢