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“原点回起”のシーズン        1年でのJ2復帰へ

 松本山雅FCの2022年シーズンが始動した。クラブ史上初となるJ3での戦いに挑むシーズンで、掲げたスローガンは「One Soul 原点回起」。山雅が積み重ねてきた歴史を改めて大切にしながら、最短1年でのJ2復帰を至上命題とする。選手たちも主力が多く残っており、苦味に満ちた昨季からのリベンジに燃えている。
 「山雅はファン・サポーターの皆さんとともに、さまざまなことを乗り越えてきたクラブ。強い信念と覚悟を持って、1年でのJ2復帰を目指して戦う」。1月10日、まつもと市民芸術館。今シーズンの新体制発表会で神田文之社長はそう強調し、「原点に立ち戻って、10年間培ってきたものを結集させたい。悔しさを晴らせるように、1年間応援よろしくお願いします」と力を込めた。



 今季は名波浩監督が2季目となるほか、選手の大半が残留。2013年から足掛け9年目となるGK村山智彦は「今年は本当に昇格しかない。一戦一戦『山雅らしさ』を持って皆さんとともに戦っていきたい。厳しいシーズンになると思うが、最後は笑って終われるようにしたい」とあいさつ。同じく古株で在籍6年目の橋内優也も「このクラブはファン・サポーターの支えがあって成り立っている。J屈指のサポーターの皆さんの期待に応えるチームになるよう日々努力していく」と決意を述べた。



 新戦力は1月17日現在で6人となっている。そのうち、かつて在籍したボランチのパウリーニョがJ2ファジアーノ岡山から再加入。新体制発表会にはビデオメッセージを寄せ、「ただいま、パウリーニョです。再び強い山雅を」と日本語で訴えた。このほかクラブ初となるスペイン人選手のGKビクトルも、J2モンテディオ山形から加わることとなった。「加入できたことをさまざまな人に感謝したい。山雅はJ1で戦える力を持っているので、J1で戦うためにまずJ2に昇格しましょう」と呼びかけた。
 名波監督は会の最後に、「選手たちを相当走らせて相当球際に行かせて、相当メンタルを鍛えないとJ3を乗り越えることはできない」「昇格した喜びにステージは関係ない。茨の道だが苦楽を共にして昇格という喜びを分かち合いたい」と力を込めた。
 前日の9日には新加入選手発表記者会見があり、FW菊井悠介、DF二ノ宮慈洋、GK薄井覇斗、MF住田将の新卒4選手が出席した。薄井とともに流通経済大から加入した菊井は「ゴール前でのプレーが特徴。パスやドリブル、シュートで高い技術を発揮できれば」。左利きのボランチ住田は「ミドルシュートやゴールに絡むプレーも自信を持っているので出していきたい」と話していた。

 チームは1月24日に初練習を行って始動。その後和歌山県、鹿児島県で長期にわたるキャンプを通じてチームを構築していく。

取材・撮影/大枝令