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【松本国際高等学校 女子硬式野球部】先駆者の誇りを胸に 全国ベスト8超えへ

「一番長い夏」をつかみ取るべく、リスタートを切った。
 県内初の女子硬式野球部となる松本国際高校。昨夏に全国高校女子ユース大会に出場、初戦で東海大静岡翔洋を5-2で破り、全国初勝利を挙げた。2回戦は対戦校の棄権で不戦勝すると、3回戦は啓明学館(愛知)に17-0のコールド勝ち。準々決勝で作新学院(栃木)に2-3と競り負けたが、丸山直人監督は「試合を重ねる中で成長が見られた」とうなずく。

 2019年創部。長田夏美前監督のもとで始動し、昨年8月に丸山監督が後を継いだ。同校の男子野球部で指導歴を持ち、就任後すぐにユース大会を指揮。わずかな期間で「少しだけポジショニングなどを教え込んで、うまく噛み合った」という。
 今年は3月の全国高校女子選抜大会(センバツ)に出場。初戦の2回戦で、東海大静岡翔洋に2-5と敗れた。昨夏に勝利した相手だったものの「ミスが続いて、徐々に体力も失われていった」と指揮官。雪やコロナの影響もあり、十分に屋外トレーニングが積めず。直前には強豪校と練習試合を行ったが、「まだ試合勘が足りなかった」と悔やむ。
 就任当初から重視しているのは守備。練習ではキャッチボールやノックなどから厳しく質を求める。「技術面を細かく教えてもらってレベルが上がっている」と伊藤小雪主将。センバツでは涙をのんだが、夏のユース大会に向けて「キャッチボールをさらに磨いていきたい。攻撃面でもただ打つだけでなく、場面を意識したバッティングができれば」と前を向く。


 県内のパイオニアとしての誇りも忘れない。丸山監督は「長田前監督から『女子野球の普及のために尽力してほしい』と託された。長野県でも普及させようという動きがある中で、我々も一役を買いたい」と意気込む。今春には長野県野球協会が設立され、追い風が吹く。
 目指すは全国ベスト8超え。「去年は不戦勝もあったが、今年は自分たちでしっかりと守り勝てるチームになりたい。ここから経験を積んで、一番長い夏を過ごせれば」。4月にはヴィーナスリーグ関東女子硬式野球大会が開幕。女子アマチュア球界のトップレベルと試合を重ねながら、勝負の夏へ突き進む。

伊藤小雪 主将

丸山直人 監督

去年のユース大会では、私も含めて経験不足を感じました。そこから冬の屋内練習を経て、センバツは初戦敗退でしたが少しずつ成果が見られています。まだまだ経験が浅いチームですが、夏に向けて強化していきたいです。

取材・撮影/田中紘夢