特集

プロスキージャンプチーム team taku

選手もファンも楽しめるエンタメに
世界を魅了したジャンパーが新たな飛躍

「かっこつけの目立ちたがり」と自ら認め、「発展途上のチームを知ってほしい」との思いからなのだろう、表紙撮影に長野駅前交差点を指定してきた。
team takuは、バンクーバーから3大会連続で冬季五輪に出場し、ソチ五輪ではノルディックスキー・ジャンプ男子団体銅メダルを獲得した竹内択さんが昨年6月に立ち上げた、日本初のプロスキージャンプチームだ。昨季は、サポート企業やクラウドファンディングなどからの支援で、欧州を転戦。コンチネンタル杯で優勝を飾りW杯へも出場、プロとしての結果を残した。2年目となる今季はチームとしての体制を整え、2年後の北京冬季五輪での個人金メダルを視野に実績を残したいところだ。竹内さんがプロチーム結成へと動いたのにはこんな危機感があった。「日本ジャンプ界の裾野がなかなか広がらない。 世界で一番かっこいいスポーツと思うジャンプの魅力をもっと発信していかないと。誰もやらないなら自分がやる」。今年春には、竹内さんの思いに共感したともに23歳の永峯寿樹さん、中村優斗さんが合流。伸び盛りの若手2人は国内大会表彰台に上がり、W杯出場を目指す。

競技の枠を超えた活動でも発信力を強める。公式ウェブサイトやSNS、ユーチューブを駆使して、スポンサーやファン・個人に直接アプローチ。また、アパレルブランドも立ち上げ、今までジャンプに関心のなかった新たなファン層の発掘を狙う。「これらの活動を通してコミュニティーを作り、将来的にはファンミーティングやパーティーなどのイベントでファンとの距離を縮めていきたい」と構想は膨らむ。
「ジャンプの本場、欧州ではW杯に大人から子どもまで数万人が競技場に駆け付け、お祭り騒ぎ。その中を飛ぶのは本当にワクワクする。選手、観客双方が楽しめるエンターテインメントとしてジャンプを日本でも定着させたい」。先日はトレーニングの合間に、チームのポスター宣伝のため長野、松本両市を訪れ、自らサンドイッチマンの格好をしてみせ、注目を集めた。一歩ずつだが前進を見せる。「大会で3人が表彰台を独占すれば一気に盛り上がるよね」と3人は顔を見合わせた。かっこいいニュースを待ちたい。

取材/斉藤 茂明

竹内 択 TAKU TAKEUCHI
飯山市出身。長野冬季五輪でのジャンプ日本男子団体の金メダルに感動し、クロスカントリーからジャンプに転向。昨年5月北野建設を退職し、プロ活動へ。飯山市観光大使も務める

永峯 寿樹 HISAKI NAGAMINE
下高井郡木島平村出身。2017年ノルディック複合W杯札幌大会21位。2017年ながの銀嶺国体ジャンプ成年A組で1位。2年以内に日本代表に入り、五輪金メダルが目標

中村 優斗 YUTO NAKAMURA
飯山市出身。2018年ノルディック複合W杯白馬大会18位。その後ケガに泣かされるが、得意のジャンプに転向し、五輪金メダルを目指す。チームでは動画編集を担当