パラスポーツ

パラスポの魅力を発信!「クロスカントリー」小林 稔さん

達成感がたまらない!周囲を巻き込む熱量でクロスカントリーと向き合う

「クロスカントリーは盲学校に通っていた時の恩師に勧められて、最初は軽い気持ちで始めました。翌年の長野パラリンピックを目指しましたが、1年ではさすがに上達しませんでしたね」少し照れた様子で笑うのは小林稔さん。その後、実力を試す為にスイスで行われた世界選手権に参加した。「僕は勝てる気持ちでいたんです。しかし甘かったと痛感しました。世界の壁はとても高かったです」他の参加選手とのレベルの差を見せつけられた大会だったという。だが、この経験は小林さんの心に火をつけた。「悔しかったんでしょうね。僕は特別負けず嫌いというわけでもないのに、こんなに実力差があるなら壁を越えてやる!と思い競技にのめり込んでいきました」。

そしてパラリンピックのプレ大会へ参加。これまで何人ものガイドと組んで競技をしていた小林さんだったが、「この大会で出会って組むようになったガイドの方が“自分がしっかり指導すればメダルを狙えるよ”と、本格的に技術を教えてくれるようになりました。当時、彼が住んでいた青森から僕の為に松本に移住してくれて、二人三脚でソルトレイクを目指しました」2人の様子はテレビ番組でも特集され注目を集めた。当時放映された番組を観て「とある女性が北海道から松本まで会いに来てくれました。感動しましたって言ってくれて・・・。」その女性はその後小林さんと結婚する。「不思議ですよね。僕が競技を始めたら色んな方とのご縁ができた。しかも妻とガイドさんには人生を変える程の影響を与えてしまった」ここまできたら頑張るしかない!と必死で練習しソルトレイクパラリンピックへ参加。何と5位入賞という好成績を収めたのだ。「メダルには手が届かなかった」と残念そうに当時のことを振り返るが、血のにじむような努力と徹底した準備を行い大会に臨んだことは言うまでもないだろう。続いて参加したトリノパラリンピックでも11位という記録を残している。

「この競技は全身を使うので体力的にとてもハードです。だけど努力すればするほど結果に現れる。他にはない達成感は病みつきになります」とクロスカントリーの醍醐味を答えた。マラソンも並行して行っている小林さん。「心肺機能を鍛えないとやっていけないスポーツなのでマラソンはちょうど良い練習です」と笑う。続けて「現在は健康の為にやっている程度かな。今後は後進の選手を育てたいという気持ちが強いです。クロスカントリーの面白さを知って欲しいし、色々なことを感じて成長してもらえたら嬉しいです。もちろんパラリンピックも目指して欲しいですね」今後の展望を語る小林さん。次の第一歩を踏み出す時も周囲に新たな風を吹かせてくれるのだろう。

小林 稔さん
1970年10月14日生まれ
松本市在住
1997年から本格的にクロスカントリーを始め、2002年のソルトレイクパラリンピック・2006年のトリノパラリンピックへ出場。両大会とも好成績を収める。現在は「信州伴走・伴歩協会」の副代表として活動。同時に松本盲学校の理療科の教諭として鍼灸などを教えている。