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アグレッシブ・山雅 じわり本領発揮

新しいドレスが、ずいぶんと体になじんできた。

松本山雅FCは開幕7試合を終えて3勝3分1敗(勝ち点12)の3位。霜田正浩監督を迎えて大幅なスタイルチェンジを敢行し、これまで1試合平均2ゴールとなる14得点をマークしてきた。もちろんシーズンは始まったばかり。さらなる浸透と熟成を目指して、取り組みは続く。

「いいところと悪いところは毎週必ずある。そこに一喜一憂せず、できたことはやりたいし、できなかったことは次にやられないようにしたい」。第6節・ギラヴァンツ北九州戦で4-2と逆転勝利を収めた後日、霜田監督はそう振り返った。結果がどうであれ、濃縮された1日を繰り返すスタンスは不変。PDCAを回して洗練を続けるのみだ。

その過程で、じわりと成果も出てきた。7試合のうち3試合で複数得点を奪っており、ノーゴールだったのは1試合だけ。攻守にアグレッシブな基本コンセプトをチーム全体が共有した上で、試合ごとの戦術的な要点を押さえているからこそゴールが生まれる。
その最たる例が、北九州戦だろう。開始早々に失点するが、そこからが真骨頂。アカデミー育ちのストライカー・小松蓮がハットトリックを達成するなど、今季最多の大量4ゴールを挙げて白星を手中に収めた。小松の3点目は美麗な左足オーバーヘッドキック。記録にも記憶にも残る活躍で、力強く勝利を呼び込んだ。

「去年のシーズンが終わってから自分の中で変えてきた部分とか、継続してやっていることが結果に表れたのは自信になる。本当にうれしい」と声を弾ませる小松。Jリーグ参入後では船山貴之、高崎寛之、鈴木国友に続くクラブ史上4人目の快挙を成し遂げ、続く第7節アスルクラロ沼津戦でもゴールを決めてリーグ得点ランキング首位の6ゴールとした。

沼津戦でも大量3ゴール。榎本樹のクロスから小松が豪快なヘッドを決めると、榎本が右CKからヘディングを決める。さらに終盤、下川陽太のクロスに合わせて山本龍平がねじ込んだ。山本はプロ5年目でリーグ戦初得点となった。

ただ、失点がかさんでいる部分は懸念される。開幕5試合まではわずか2失点だったが、第6〜7節の2試合で6失点。特に沼津戦は終始先手を取られ、終盤にようやく勝ち越した直後に2失点と崩れた。本来なら殊勲のヒーローとなるはずだった山本は「あの瞬間だけはうれしかったけど、チームが勝つのが一番。負けてしまったので、うれしさよりはやはり悔しさのほうが強い」と肩を落とした。
課題を改善しつつ、長所は伸ばして次へ。そのサイクルを繰り返しながら、高みへの道筋を一歩ずつ踏みしめていく。

取材/大枝令