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【VC長野トライデンツジュニア女子】アカデミーの利点生かし 選手に付加価値を

部活動を優先しながらも、より高いレベルを目指してチームに集う。昨年始動したVC長野トライデンツジュニア女子。Vリーグ男子1部に所属するトップチームのアカデミーで、中学年代の大会に出場している。7月には全国ヤングクラブ男女優勝大会の県予選を初優勝し、2年目にして初の全国舞台をつかみ取った。


 主に外部コーチが指導を務め、ともに早稲田大出身の松本隆義監督と藤森圭コーチも力を合わせる。松本監督はトップチームのコーチを兼任しており、昨季は監督代行を務めた経験もある。今春からジュニア女子を指揮し、「トップチームがやっているようなレベルの高いことも教えている」と明かす。
 一方の藤森コーチは、松商学園高の監督を兼務。同校とは包括協定を結んでおり、定期的に練習試合も組んでいる。「全国大会にも出ている上のカテゴリーのチームとやることで、よりレベルアップが図れる」。昨年在籍した3年生2人はともに松商学園に進学しており、長期スパンでの育成にも繋がっている。
 とはいえ、選手たちが優先するのは部活動だ。全18人中16人が中学のバレーボール部に在籍し、そこでの練習後にチームで汗を流す。その一人である中川凛子(3年・丘中)は「バレーがもっとうまくなりたくてトライデンツに入った。ここで学んだことは中学でも生かせる」と話す。松本監督も「学校体育では実現できないような環境を提供したり、Vリーグのアカデミーならではの指導ができれば」とプラスアルファを追い求めている。

 今季は全国ヤングクラブ優勝大会の県予選で初優勝した。松本監督の就任からわずか1カ月ほどだったが、「学年間で距離を作らないで話したり、コミュニケーションを大事にしてきた」と中川。3年生5人がチームを牽引し、団結力で頂点を勝ち取った。全国大会では惜しくも初戦で敗れたが、クラブとしては来季に向けての足がかりとなるはずだ。



 「まずはバレーボールを好きになってもらって、生涯スポーツとして見ることもやることも楽しんでもらいたい。その上で部活動から来る選手たちに対して、よりレベルの高い指導をしていきたい」と指揮官は方針を語る。コロナ禍でトップチームや松商学園高との連携が思うように進まなかったが、それも徐々に好転。今後はVリーグのアカデミーというメリットを最大限に生かし、トップレベルの育成に励んでいく。

取材・撮影/田中紘夢