地域スポーツ

【F.C.中野エスペランサU-12】楽しさを学び、次の年代へ

F.C.中野エスペランサは、普及と強化の両面から地道に活動を続けている。現在はU-18を除く各カテゴリの年代でチームを運営。このうち競技の入り口となるU-12は、昨年の全日本U-12選手権県大会でベスト16に入った。小林十斗主将は「もっと上に行きたかった」と話し、今季の飛躍を誓っている。

 1987年に発足した中野サッカースポーツ少年団が母体。昨年の全国高校選手権県大会で優勝した市立長野高では、同チーム出身の選手が多数活躍していた。2020年から「中野エスペランサU-12」の名を冠して大会に出場。足元の技術を重んじ、中学年代で即戦力となる選手を育てている。


 低学年ではドリブルに特化し、高学年からパスや戦術にも着手。週1回のスクールや“ドリブル塾”と掛け持ちでプレーする選手もいる。同クラブ出身の竹内貴昭コーチは「5年生までに『ここまで仕上げたい』という基準があって、6年生は試合結果を見ながら色付けしていく。大会はベスト8が基準」と方針を話す。


 この年代で最も大きな舞台は、全日本U-12サッカー選手権。昨季は県ベスト16まで進んだが、準優勝した長野アンビシャスFC・Aに0-1と惜敗した。「主力選手が学校の行事と重なったり、ケガで出られなかったり。それがなければもう1〜2個は上に行けたと思う」と竹内コーチ。現在はU-15で活躍する上野二鼓らの不在が響いた。
 今季は6年生が5人と少ないが、県選抜に選ばれている白川碧惟や、ドリブラーの小林らがチームを牽引する。小林は3人兄弟の三男で、2人の兄はいずれも同クラブ出身。自らもその背中を追う形で1年生から入団した。現在は主将として、下級生が多いチームで「みんなをまとめることも意識している」という。集大成となる今季の目標は「全国大会出場」。同じく6年の寺島育哉も「どこかの大会で優勝したい」と意気込みを口にする。


 とはいえ、チームとしては決して結果ばかりを追い求めているわけではない。「中学や高校でもサッカーを続けてもらえるように、まずは楽しさを伝えたい。ここで過ごした数年が今後の基礎となるので、上の年代でも通用する技術を身につけられれば」と竹内コーチ。ジュニア年代の裾野を広げるために、奮闘は続く。

取材・撮影/田中紘夢