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【CFバロ】北信サッカーに新たな風 泥くさく何度でも

北信地方のサッカー界に新たな風が吹いている。元AC長野パルセイロの野澤健一氏が代表を務めるCFバロ。現役時代に培った経験を地元に還元すべく、12歳以下のサッカースクールとU-15チームの指導に励んでいる。

 野澤代表は2009年、当時北信越リーグ1部のAC長野パルセイロに加入。2014年にはJ3リーグでもプレーし、「美濃部(直彦)監督のもとで30歳にしてすごく成長できた」と振り返る。それと同時に「育成年代でもっと多くのものを獲得していたら、より上のステージでプレーできたのではないか」と感じ、指導者の道に進むことを決意。2014年で現役引退すると、同クラブのU-18チームのコーチに就任した。
 だが、Jクラブの育成組織は狭き門。「100人くらいの小学生がジュニアユースを受けにきて、80人は入れなかった」と明かす。野澤代表は落選した80人に目を向け、地域の受け皿として、2017年にCFバロを設立した。

 BARRO(バロ)はスペイン語で「泥」を意味し、「汚れることを恐れず何度でも立ち上がる」という思いが込められている。AC長野でチームメイトだった松尾昇悟らもコーチとして加わり、後進の育成に寄与。中学3年の小林晴太は「プロでプレーしてきた人たちなので、一つ一つの言葉に重みがある」と話す。
 U-15チームではボールに多く関わるサッカーを志向している。「サッカーをやっている以上、自分がボールを持っているときが一番成長する」と野澤代表。それだけでなく「試合では8〜9割はボールを持っていない時間」と言うように、オフ・ザ・ボールの動きも重点的に取り組む。ボランチ小林は、中学3年間で「一つ一つのプレーの大切さを学んだ」という。


 今季は長野県クラブユース選手権U-15で4位。3位以内に入れば北信越大会に出場できたが、あと一歩及ばなかった。それでもリーグ戦では北信1部を優勝し、地区プレーオフを制して県リーグ参入が決定。来季はより高いレベルに身を置くこととなる。

 県リーグには中信勢が数多く名を連ねている。松本市出身で、松本美須々ケ丘高校OBの野澤代表は「中信はサッカーの根本的なスキルが高い。タフさがあるし、いい競争がたくさん生まれている」と印象を語る。その上で「北信はまだまだそういう部分が足りていないので、そこの一端を担っていければ」と思いを馳せた。

■お問い合わせ
【TEL】026-247-8934
【ホームページ】https://barro.nagano.jp/

取材・撮影/田中紘夢