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【AC長野パルセイロレディース】WEリーグ開幕 AC長野は順調なスタート

 日本初の女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」が、9月12日に開幕した。AC長野パルセイロ・レディースは、アルビレックス新潟レディース(新潟L)とアウェイで対戦。3-1と快勝し、早くも歴史的一勝を挙げた。続くホーム開幕戦も強豪の日テレ・東京ヴェルディベレーザ(東京NB)とドロー。格上がひしめく最高峰のリーグで、順調なスタートを切った。
 WEリーグは11チームで構成されている。その大半は元なでしこリーグ1部のチームだが、AC長野は2部からの参戦。開幕戦の相手も元1部の新潟Lで、厳しい戦いが予想された。しかし9分、FW瀧澤千聖のゴールで先制。14分に同点弾を許したが、直後の15分にMF三谷沙也加がネットを揺らす。さらに後半、高校3年生のFW川船暁海がダメ押し弾。小笠原唯志監督の言葉を借りれば、「WEリーグにセンセーションを起こす1勝」だった。
 そして迎えた9月18日のホーム開幕戦。東京五輪代表5人を擁する日テレ・東京ヴェルディベレーザ(東京NB)と0-0で引き分けた。試合は序盤からボールを支配され、守勢が続く。時間とともに相手のパススピードに慣れるものの、奪った後の質が上がらずカウンターに転じられない。
 防戦一方の展開が続いたが、34分に決定機が訪れる。瀧澤千が相手のパスミスを拾うと、ドリブルからFW瀧澤莉央にラストパス。瀧澤莉がGKとの1対1を迎えたが、シュートは惜しくもGKに阻まれた。後半も五嶋京香と橋谷優里のセンターバック2人を中心に、無失点に抑えながら少ないチャンスを仕留めようと試みる。78分、鈴木日奈子のパスを受けた瀧澤莉が左足を振り抜いたが、相手GKが指先でかき出した。
 この2度の決定機を含め、90分でのシュートはわずか3本。攻撃が停滞した要因は、奪った後の質だ。ボールカットに至ったとしても、パスが2〜3本しか繋がらないシーンが散見された。相手の切り替えの速さもあるが、「正直怖がっていた。もう少し運んで状況を変えれば良いのに、見えたところに出していた」と指揮官。瀧澤莉も「奪ってすぐに裏へ蹴ってしまって、また守備に回る時間が多かった。もう少し自信を持って保持したい」と省みる。当面の課題は、1部のプレースピードに順応して余裕を持つことだろう。
 とはいえ、強豪との2試合で勝ち点4を獲得。小笠原監督は「地力のあるチームに対して簡単にやらせていない」と守備の手応えをつかんでいる。一方で「守備の練習はほとんどやっていない」と語る通り、志向しているのは攻撃的なサッカー。その原点を忘れず、女獅子たちは千尋の谷を駆け上がる。
<取材・撮影/田中紘夢>