練習後の体育館に小気味よいバッシュの音が響く。全員で取り組む「雑巾がけ」の音だ。安曇野市豊科地区を中心に活動する豊科ミニバスケットボールクラブでは、伝統的に練習後の雑巾がけを欠かさない。1年生から6年生まで22人(取材時)全員が、自らの手で雑巾を握り約三往復の床磨きを行う。足腰を鍛えるトレーニングであると同時に、体育館という場所への感謝と、今日を無事に終えられたことへの謝意を学ぶための重要な儀式でもある。最上級生である6年生が先頭に立ち黙々と床を磨く姿は、言葉以上に下級生たちに何か伝えているのではないか。

同クラブの2025シーズンを力強く牽引したのは、160センチを超える二枚看板を筆頭とした6人の6年生たちだ。森田晃一ヘッドコーチ(HC)のもとで心技体を磨き、チームの核として成長を遂げてきた。山梨や群馬への遠征を繰り返し、宿泊を伴う共同生活の中でチーム力を底上げした。コートを離れれば年相応の笑顔を見せる子どもたちだが、ひとたび試合となれば、大型選手二人の高さと、小柄ながらスピードで翻弄するガード陣が三位一体となり、格上の相手にも臆せず立ち向かう。特に県大会での強豪・ライジングジャムとの激闘は、結果こそ惜敗であったものの、彼らが積み上げてきた時間の濃さを物語るものだった。


練習の際、森田HCは「ミスをした後にどう振る舞うか」という精神を熱心に伝えている。スポーツにミスは付き物だが、その時「自分で取り返す」といった強い気持ちを持ち、他人事にならずに粘り強く次のプレーへ切り替える。その闘争心こそが、体格に恵まれない場面でも互角以上に渡り合える理由となるからだ。チームが目指す「堅守速攻」は、献身的なディフェンスがあって初めて成立する。特に6年生たちはその精神をしっかり体現してくれている。

インタビューの終盤、子どもたちによる雑巾がけが一斉に始まった。間もなく新年度、代替わりの時期を迎え、5年生以下の新チームへと思いは引き継がれようとしている。先頭を走る6年生の後ろ姿には、コートで見せた「絶対にボールを渡さない気合い」が滲んでいるようだ。その背を追って後輩たちも黙々と、雑巾を手にコートを駆けている。

【ヘッドコーチ 森田晃一さん】
私が一番大事にしているのは“勝利”より“成長”です。粘り強さと切り替えを徹底しています。練習の最後の雑巾がけでも、感謝や心の整え方を学んでほしいですね。当クラブは指導者が7人と充実しています。見学や体験入会はいつでも歓迎ですので、ぜひ一緒にバスケを楽しみましょう。

【6年生キャプテン 成澤龍志 くん】
6年生になってから6年生全員で目標を立てて、それに少しでも近づけるように頑張ってきました。選手権では練習で活かしたことを出せてよかったです。強豪との対戦を通してさらに上を目指す思いが強くなり、将来は高校で強いチームに入ってキャプテンを務めたいです。

【5年生新キャプテン 保髙蒼季 くん(写真右)】
6年生の成澤キャプテンにとても恩を感じていて、憧れています。彼がキャプテンになると聞いて、自分もキャプテンをやりたいと決意しました。今は優しく、時には厳しく下の子たちの面倒をしっかり見ることを心がけています。来シーズンは県大会出場を目指しています。
【5年生新キャプテン 浅川晴斗 くん(写真左)】
最初は自分がキャプテンをやるとは思ってなかったけど、チームを引っ張りたい気持ちが強くなり、立候補してキャプテンになりました。自分から声を出すことを意識して周りにも伝えています。最後に行う雑巾がけでは、体育館への感謝や使わせてもらったありがたさを強く感じます。
.jpg)
■体験、入会に関する詳細はQRからご確認ください。

取材・撮影/生田和徳
