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【藤澤龍人:ゴルフ】      唯一無二の仲間とともに     自身のフィールドで飛躍へ

プロ転向を目指すだけが道ではない。藤澤龍人は「プロには届かなくとも、アマチュアの頂点は視野に入る」と、自ら定めたフィールドで輝くことを選んだ。目標は県アマチュア選手権での優勝。同年代の県内トッププレーヤーらと切磋琢磨しながら、自分との戦いに没頭する。

 平均スコアは70台。ともに県内出身プロゴルファーの新村駿や大久保克海、2022年県アマ優勝者の上條五大らとは旧知で、一緒に練習したりラウンドに出かけたりと腕を磨き合う。「仲間がいなかったら続けていない。身近に目標がいるから競い合えるし、教え合うこともできる」と、互いに刺激し合いながら上を目指す関係性。5月6日の第22回県アマチュアダブルス選手権では上條と組んで出場し、3位入賞した。
 幼い頃からゴルフは身近なスポーツだった。ゴルファーである父とともに過ごすうち、「気付いたら自分でも始めていた」と振り返る。小学1年生だった2007年には石川遼が世界最年少優勝を成し遂げた影響でブームが起こり、周囲にジュニアプレイヤーが少なくなかったことも拍車をかけた。小学生の頃からスクールに通い、ローカル大会などへ出場するうちに友人が増え、ますますのめり込んでいった。

 一番の身近な刺激は、ともにゴルフを続けてきた弟の藤澤幸生。現在は山梨学院大に在学し、昨年の鹿児島国体で長野県代表として出場した実力者だ。自身とはまったくタイプが違うといい、「ショートゲームが圧倒的にうまい」と賞賛。「今は率直に『がんばれ』という気持ち」と思いを語る。
 自身にコンプレックスを抱いた時期もあったというが、転機はバスケットボール部に所属していた高校時代におとずれた。部活動で筋力や体幹が鍛えられたことが功を奏し、ドライバーの飛距離が一気に伸びたという。それに自信を得て、「飛ばし屋」としてのスタイルを確立した。弟とは対照的に「スコアは負けても飛距離では負けない」と胸を張り、現在の最高記録は310ヤード。「まだまだ伸びしろがある」と貪欲な姿勢を見せる。
 「うまくいくことのほうが少ないが、うまくいったときの達成感はすごい。悪い時に『いかに耐えるか』が大切なスポーツ」と語る。藤澤にとってのゴルフは「自分との戦い」でもあり、ティーオフすると自らと深く向き合う道中。だが旅路を終えてホールアウトすれば、仲間と背中を叩き合う。「一生続けられる競技として、楽しみながら続けていきたい」と藤澤。ゴルフを通じて得た無二の友に囲まれ、長野県の頂点へ歩み続ける。

 
Profile藤澤龍人(ふじさわ・りゅうと)
ゴルファー
2000年3月12日生まれ。安曇野市出身。小学生の頃に父の影響でゴルフを始め、ジュニア世代から大会出場を重ねる。山梨学院大在学中からアマチュアのトップを目指すことを志向し、卒業後は地元である豊科カントリークラブを拠点に活動中。

取材・撮影/佐藤春香