地域スポーツ

【穂高ミニバスケットボールクラブ】バスケで繋ぐ地域の輪 仲間とともに笑顔で

 体育館には笑い声がさざなみのように重なり、子どもたちは和気あいあいと練習に取り組む。「ここに来たくなるような雰囲気づくりが一番。なおかつ、勝てればさらに良い」。穂高ミニバスケットボールクラブの創設者・宮澤修(おさむ)代表は、地域スポーツのあり方を模索しながら「理想」を目指している。

 友達同士で誘い合うのをきっかけに、ほとんどが未経験からの参加。60人を超える子どもたちは、体格も能力もさまざま。男女ごとのチーム分けはあれど、皆が一様に目を輝かせてボールを追いかける。

「皆で一緒にうまくなれるのが楽しい」。女子キャプテン・武居樹乃(じゅの)さんはガードとして日々判断力を磨き、「仲間に分かりやすい指示を出したい」と女子メンバーたちをまとめる。14名が一丸となり、抜群のチームワークはそんな努力のたまもの。声をかけ合い、笑顔でハイタッチを交わす彼女たちに、経験や学年の隔たりはない。「うまくなりたい」という気持ちさえあれば誰でも歓迎し、ともに上達をよろこび合って上を目指す。

 男子チームは総勢40人以上で、Aチーム(3~6年生)とBチーム(1~2年生)に分かれて練習する。進級とともにBチームからの持ち上がりが多いAチームでは、経験者をさらに伸ばすことにも力を入れる。「皆が楽しみながらプレーして強くなっていける」と話す男子キャプテン・恩田翔和(とわ)くんを筆頭に、同学年のエース・平林蒼汰くんは県選抜ユースU12に名を連ねる実力者。県内ベスト8入りを視野に入れ、各々がいっそう腕を磨きつつ切磋琢磨する。

 実力向上を目指しつつも勝利だけを追求する主義ではなく、メンバーの能力に応じたチーム作りを心がける。宮澤代表は「高学年が多かったり、突出した子が大勢いたりすれば、それなりの実績を目指す。レベルに応じて、皆が楽しめるバスケにするのが大事」と強調。勝ちにこだわりすぎて萎縮しないような集団の雰囲気づくりを意識する。
 真の狙いは、スポーツを通じてすこやかな身体と心を育み、地域という土壌で彼らが生き生きと輝くこと。それこそが「地域スポーツ」であり、地域の活性化に繋がる――という考えだ。1998年の創設から、この地に根差して25年。初期メンバーは保護者となって、自分の子どもたちへと「きずな」を繋ぐ。目を細め、「継続は力なり」とうなずく宮澤代表。子どもたちの輝く笑顔が、豊かな土壌を育んでいく。


【宮澤 修(おさむ) 代表】
今のチームの目標は「目指せ県大会」。長野県ベスト16をクリアして、さらに一歩上へ手が届くようなレベルを目指しています。

【武居 樹乃(じゅの)さん】
自分からガンガン攻めていける人が入ってくれたらうれしい!みんなほとんど初心者から始めているので、一緒にうまくなっていきたいです。

【恩田翔和(とわ)くん】
ちゃんと練習して、試合で勝つことがやっぱりうれしい。しんきん杯優勝を目指します。中学でも、部活以外にもクラブに入って続けたいです。

取材・撮影/佐藤春香