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【湘南ベルマーレ 原直生】プロ1年目 大いなる夢を抱いて

松本から羽ばたき、プロとしての第一歩を踏みしめた。
 中信地方の強豪クラブ・FCセダックから湘南ベルマーレのU-18に進んでプレー。昨季はトップチームの試合に出場できる2種登録選手となり、ルヴァンカップ・グループステージの4試合に出場した。今季は晴れてトップ昇格し、J1で戦うチームの一員に。「まず最低限の守備を求められているが、一番は攻撃で自分の持ち味を出せるかどうか。ドリブルやゴール前のシュートやアシストなど、点に関わるプレーを出したい」と力を込める。


 松本市出身。4歳の頃からサッカーを始め、FCセダックで実力をつけた。チームだけでなく父親から熱心に指導され、「インターネットで色々調べて教えてくれたり、練習にも付き合ってくれたりした。それが一番大きいと思う」と振り返る。ジュニアユースに上がると周囲のレベルも一気に高くなり、チームメイトの存在が刺激になったという。「うまい選手が入ってきてくれて、楽しみながらお互いに成長できた」。3年時には日本クラブユース選手権にも出場した。
 最終学年になるのに先立ち、進路を模索。最初にオファーがあった湘南に何度か練習参加し、トップチームとアカデミーの密接な関わりに好印象を受けた。トップチームの練習に参加できたり、トレーニングマッチに2〜3人呼ばれたり。「プロになるのはベルマーレが一番いいと思った」。しかし半面、地元に残る選択肢もあった。「一人で県外に行くのは、やっぱり気軽な気持ちでは行けない。地元でも楽しくやれればいいかもしれない――と思うことはあった」。揺れたが、回答期限最終日の5月31日に湘南へ進むことを決意した。


 新天地で、さらに成長を遂げた。後にトップチームも指揮する浮嶋敏監督の薫陶を受け、トップ下で攻撃の持ち味をいかんなく発揮した。その年にはU-16日本代表にも選ばれ、インターナショナルドリームカップの3試合に出場。松木玖生(現FC東京)らとともにルーマニア、ナイジェリア、メキシコと対戦して3戦3勝(PK勝ち1を含む)とした。
 U-18の最高学年となった昨季は、トップチームのデビューを果たす。ルヴァンカップのグループステージで浦和レッズ、横浜FC、柏レイソルと対戦。「試合をやる前はもう少し強度的にできないかなと思っていたけど、いざやってみたらボールを持った時に意外と落ち着いて周りを見られていた。緊張はしたけど、失敗を恐れずにできた」と手応えを得た。

 そしてプロ1年目となった今季。J1のサバイバルレースに身を投じる前に、熾烈なチーム内競争に勝ち抜かなければいけない。「トップチームになるとあまり注意をされないので、試合に出られなくても自分に厳しくする必要がある。他人と比べず、いかに自分と向き合うか。求められている球際のスピードや強さも最初の頃よりはいいと言われるけど、他の選手に比べたらまだまだ」と原。ポゼッションスタイルのJ1上位チームへのステップアップや海外移籍、そして日本代表――といった大きな夢から逆算し、今は眼前の課題を地道に克服していく。

PROFILE 原直生(はら・なおき)

2003年7月22日生まれ、松本市出身。FCセダックのジュニア、ジュニアユースでプレーし、湘南ベルマーレU-18に進んだ。2021年に2種登録選手となって22年にトップ昇格。身長177cm、体重61kg。

取材/大枝令
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