地域スポーツ

【松本明誠会】女性の指導者が多数 個々に寄り添う道場

幅広い年齢層が一堂に集い、稽古に励んでいる。日本空手松涛連盟に所属し、松本市内に複数の道場を構える松本明誠会。園児から大人まで参加できる少年・少女・一般の部に加え、少女や大人に限定した教室や、全国大会で上位を目指す「JKS長野選手強化コース」を設けている。


 主に指導を務めるのは、日本空手松涛連盟の公認段位をもつ講師。その一人である吉田友紀氏は、10年以上前から大人の空手教室も兼任してきた。そこで空手を始めた受講生が黒帯を取得し、各道場の指導の補助にも回っている。
 「松本明誠会は女性の指導者が多い。お母さんたちがここで空手を続けてくれて、指導もやってくれるのは珍しい。それによって女性が入りやすい環境になっている」と吉田氏。取材日には総勢38名が参加したが、そのうち半数の19名は女性だった。「思春期になると男性に教わるのが難しい部分もあるが、女性の指導者がいるとそういう細やかなところにも配慮できる」とメリットを明かす。指導者が自身の子どもを連れてくるケースも多く、良い循環が生まれている。


 小学5年の小川光優は「先生が多いので一人ひとりにアドバイスをくれる」と話す。少年・少女・一般の部は「型」の稽古が中心で、指導者が入念にチェックする姿が見られる。小学2年の清水彩羽は「アドバイスされたことを家でも練習している」という。
 しかし年明けはコロナの影響を受け、対面での稽古が制限された。市内の道場が使用できなかったため、吉田氏の実家の道場などを用い、対面とオンラインのハイブリッド形式で指導。吉田氏は「画面越しでの指導になると、『足はこうだ』というふうに細かいところが教えられなかった」と振り返る。小川と清水は「みんなで練習しているときが楽しい」と口を揃えたが、その環境も奪われていった。
 それでも3月から徐々に好転し、通常稽古が再開。JKS長野選手強化コースに所属する選手は、全国大会に出場して日本武道館などの大舞台にも立った。楽しみながら昇級・昇段を目指す者と、大会で上位を目指す者。それぞれのベクトルは異なるが、吉田氏は「武道なのでどんなに強くても礼儀作法は疎かにしないこと。自分が強くなれば周りに優しくできると思うので、そういう人を育てられたら」と思い描く。

■小川 光優さん

■清水 彩羽さん

■吉田 友紀 師範

取材/田中紘夢