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【松本大学 男子サッカー部】  創部16年目の快挙 県内Jクラブに2選手が加入

松本大学サッカー部所属の2人が、県内のJクラブに加入となる。松本山雅FCにMF濱名真央(スポーツ健康学科4年)、AC長野パルセイロにはMF青木安里磨(観光ホスピタリティ学科4年)。昨年12月には松本大学にて加入内定合同記者会見が開催された。2007年の創部以来初となるJリーガーの輩出に齊藤茂監督は「指導者としての一つの夢をかなえたと実感している。16年前の夢物語が現実に起きているということは、本当に胸がいっぱい」と感慨に浸った。

 濱名は福島県出身。仙台大附属明成高を経て松本大に入った。「松本山雅があることは知っていたので、大学1年生の時に試合を見に行った。近くにJクラブがあることは松本大学のいいところだと思う」と話す。3年時から練習参加し、2022年3月には松本山雅への加入内定と特別指定選手の登録が発表された。昨シーズンは3試合に出場し、デビュー戦から存在感を示した。

 青木は安曇野市出身。松本山雅FC U-15から松商学園高に進み、松本大でさらに心技体を鍛えた。「大学で伸びたのは足元の技術。松本大には県外のドリブルチームから来た先輩がいて、自分も真似をしてドリブルの練習をした。そこが一番伸びた」と振り返る。

 互いに攻撃的なポジションを務める選手で、刺激を与え合っていた。濱名は「いつも自分が妥協しそうになった時に安里磨のことを思うと、『自分はもっとやらないといけない』と引き締めさせてくれる存在だった」と回顧。青木も「濱名くんは両足で蹴れてフィジカルも強くてドリブルもできる。完璧な人だと思っていた」と明かす。
 県内のライバルクラブにそれぞれが進むため、いやが上にも信州ダービーへの意識も強まる。青木は山雅アカデミー出身からAC長野に進む立場で、「信州ダービーはすごく楽しみだし、2人そろって試合に出れば長野県の皆さんは喜んでくれると思う。そのピッチに立てるよう日々努力していく」。濱名は「試合にたくさん出場して、(サンプロ)アルウィンで活躍する姿を見てもらいたい。ダービーでの対戦も実現できたら」と夢を膨らませる。
 松本大学男子サッカー部は創部以来、北信越大学リーグなどを通じて地道に力を蓄えてきた。2017年に全日本大学選手権(インカレ)、18年と21年には総理大臣杯に出場。松本山雅FCと提携して岸野靖之氏がフィジカルアドバイザーを務めるほか、松本山雅とAC長野に在籍した塩沢勝吾氏らをコーチに迎えるなど、体制を固めながら幹を太くしてきた。

 これまでの取り組みや選手たちの努力もあり、今回、初のJリーガー輩出という成果に結実。齊藤監督は「長野県の私立大学でサッカーを強化しているのは松本大学だけ。関東の大学でなくても試合に出てキャリアを積めばここでもプロになれる。こういう育成の方法もあるという『地方モデル』を、プロの世界で活躍して証明してもらえたら」と期待を込めた。
 菅谷昭学長はワールドカップ(W杯)でのサッカー熱の高まりなどに言及しながら、「松本大学から2人も輩出できることは、サッカーに関心を持つ若者の大きな希望となる。今後はそれぞれが努力を重ね、2人そろって信州ダービーで勇姿を見せてくれることを願いたい」と話していた。