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【松本国際中学校サッカー部】  全国レベルを学び 創部2年目で県制覇へ

全国の強豪に胸を借りながら、まずは長野県で頂点を目指す。2021年に新設された松本国際中サッカー部。1年生のみで臨んだ昨季は、県中学新人大会(新人戦)の中信大会で優勝し、一定の手応えを得た。練習試合で全国王者の胸も借り、力の差を痛感して現在地を再確認。「基準を変えていかないと向上はない」とトレーニングに汗を流している。

 「最初は勝てなくて悩む時もあった」と飯ヶ浜咲介主将。県中学総体の中信予選Bブロックでは大敗が続き、5チーム中最下位に終わった。上級生のパワーやスピードに苦しみ、1得点も挙げられず。竹野入潔監督は「ずっと守っているだけだった」と振り返る。
 それを踏まえ、指揮官は「相手とのフィジカルコンタクトをいかに避けるか」に力点を置いた。「パワーで勝てない分、足元とかパスで補うしかない」と飯ヶ浜が言うように、個々の技術やグループ戦術を磨き上げる日々。その成果として、新人戦は中信大会で決勝まで進み、鎌田中に2-1で競り勝った。


 県大会にあたるチラベルトカップでは、2回戦で赤穂中に0-5と敗れた。とはいえ「目に見えた結果が出ると、欲が出てくる」と竹野入監督。選手たちの目の色が変わり始め、それを後押しするように全国の強豪校と練習試合を組み、全国中学大会の王者・神村学園(鹿児島)の胸も借りた。
 自身は同校の高校年代でもコーチを務めている。2020年度には全国高校選手権に出場し、1回戦で京都橘に0-6と大敗。それを機に、勝沢勝監督とともに全国で勝ち抜くための術を模索し始めた。
 「個人に頼っていたら全国には敵わない。しっかりとグループを作って、試合を支配できるサッカーを整えていかなければいけないと感じた」。松本国際は中高一貫。中学1年から上を見据え、高校で即戦力となる人材の育成を目指している。勝沢監督が練習を視察に訪れる中、飯ヶ浜は「高校に上がったらできるだけ早くAチームで出たい」と強調。育成年代のトレンドとも言える“6年計画”が、着々と進みつつある。


 新入生を迎えた今季、目指すは県制覇だ。まだ3年生はいないが、「2年生が今年初めて県を獲って、来年に連覇できれば」と指揮官。それどころか、北信越制覇と全国大会での神村学園への“リベンジ”も望んでいる。決して平坦な道のりではなく、現状を踏まえれば“無謀な挑戦”と言えるかもしれない。だが、選手とスタッフの目は本気だ。

飯ヶ浜 咲介 主将

竹野入 潔 監督

取材/田中紘夢