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【松商学園高等学校 ウエイトリフティング部】県内唯一の部活動 未経験から魅力に浸る

「頑張った分だけ目に見えて数字が出てくるので、もっと頑張ろうと思える」。松商学園ウエイトリフティング部の本澤芹奈主将は、そう競技の魅力を語る。OBである金井洋貴監督のもと、県内唯一のウエイトリフティング部として活動。メンバーの大半は初心者で、体験会を通して入部に至る。
 昇降口を降りてすぐの場所に室内練習場があり、人の目にも留まりやすい環境。競技の特性上、ハードルを感じる部分も少なくないが、ひとたび体験すれば魅力を感じる学生も多いようだ。

 本澤主将は清水中でバレーボール部だったが、2歳上の姉・佑菜がウエイトリフティング部に所属していたこともあって体験会に参加。「雰囲気が良かったし、未経験でも入りやすかったので選んだ」と振り返る。2年の主将を務める仲瑛司も、高校から競技を始めた。鎌田中時代はバスケットボールに励み、「もともと筋トレが好きだった」。来季は最上級生としてチームを牽引する立場を担うが、「不安よりは楽しみな気持ちのほうが大きい」と胸を踊らせる。
 チームとしても雰囲気作りには力を入れている。個人競技ではあるが、互いに励まし合いながら記録に挑戦。男女ともに和気あいあいとした雰囲気で、学年の壁を越えて一体感が生まれている。「自分より重いものを持ち上げるのはすごくきついが、仲間との声かけもあって楽しい」と本澤。現在はコロナ禍で制限があるものの、試合になるとセコンドや観客からの後押しも強く感じられるという。


 目標とするのは高校選抜大会、高校総体、国民体育大会(国体)の3大大会。今季は国体で三浦快介が少年男子89kg級を制するなど、一定の成果を挙げた。高校総体は個人戦だけでなく、学校対抗もある。今年は上位入賞とはならなかったが、「そこを狙っていく年もある」と金井監督は話す。
 卒業後は県内で競技ができる環境こそないが、県外で続ける選手も多くいる。本澤もその一人で、「大学でも頑張りたい」とさらなる成長を誓う。2028年には長野国体も控えており、指揮官は「まずはこの競技にチャレンジしてくれる人を増やしつつ、国体で上位に入れる選手も育てていきたい。大学に行った選手たちもさらに成績を伸ばして、成年の部で活躍してくれれば」と願いを込めている。

【本澤 芹奈 主将】

【金井 洋貴 監督】

取材・撮影/田中紘夢