特集

【新村駿:ゴルフ】松本から世界を目指すプロゴルファー 飛躍を期し新たな一歩を踏み出す

「PGAツアーに参戦したい」
 世界の舞台での活躍を目指し、今季プロゴルファーとして新たな一歩を踏み出したのが松本市出身の新村駿(22)だ。佐久長聖中学・高校から名門の日本大学に進み、好成績を残しながらここまで研さんを積んできた。昨年の日本プロゴルフ協会(PGA)のプロテストで一発合格を収め、念願のプロに。飛躍の年と位置付ける今年、どこまで目標に近づけるか期待が集まる。

 今季は下部ツアーに参戦している。「久しぶりに緊張した」という4月上旬の初戦では、惜しくも最終日に進めなかった。調子がいまひとつだったと振り返るが、その中でも長いシーズンに向けての手応えは確かにつかんだ。今季の目標に掲げる「下部ツアーで賞金王」に向け、しっかりと前を見据える。
 最大の武器はドライバーの飛距離。平均は310ヤードで、国内男子プロでも上位の数字をたたき出す。その飛距離を生み出す土台ともいえるのが、がっしりとした肉体だろう。177センチ、81キロの筋肉質。体幹も鍛えられ、加えて柔軟性もある。小学生時代からの鍛錬が、今の肉体の礎となっている。
 小学生時代はゴルフと空手の「二刀流」だった。ゴルフでめきめきと頭角を現す中、空手でも全国大会常連の実力を発揮していた。その空手の影響が色濃く、強い体が生み出され、現在もウエイトトレーニングなどで鍛え上げている。

 とはいえ、フィジカルだけで勝てるのがゴルフではない。技術に加え、メンタルもプレーに大きく影響する。「平常心をいかに保つか。自分の今の状態としっかり向き合い、調子が悪ければ攻めすぎないことも大切」と新村。長いシーズン、我慢を強いられることも当然ある。それを前提にしていれば焦りや迷いを拭い去り、スコアへの影響も最低限に抑えられる。
 大学4年にはオーバーワークが起因となり、腰を骨折する大けがも負った。量を求めていた練習法も「1球1球を本番のように打つ意識。質を高めるようになった」と明かす。これまでの故障や不調をしっかりと経験値とし、成長の材料に転嫁している。

 人柄は謙虚でさわやか。高校で主将、大学では副主将を務めるなどキャプテンシーも高い。そんな好青年だが、心の中では世界でのプレーに情熱をたぎらせる。「今はその下準備期間。しっかりと取り組み、成績を残していきたい」と力を込める。
 松本から世界へ―。大きく羽ばたく未来が想像される。


新村 駿(にいむら しゅん)
2000年9月11日生まれ、松本市出身。父親の影響でゴルフを始め、寿小学校1年生のときにアルプスショット(塩尻市)ジュニアスクールに入る。佐久長聖中学・高校に進み、関東高校ゴルフ選手権団体優勝、日本大学でも日本学生選手権などで上位に入る。現在は松本市を拠点に活動し、松本カントリークラブと穂高カントリークラブで練習している。