地域スポーツ

【常盤野球スポーツ少年団】   大町から県の強豪へ!   一“笑”懸命に駆け抜ける

 「普段なら経験できないようなことを経験できた」。高橋幸翔主将は声を弾ませた。大町市を拠点とする常盤野球スポーツ少年団は昨年、高円宮賜杯 第41回 全日本学童軟式野球大会(マクドナルドトーナメント)で初めて県大会に進出。初戦で南原育成少年野球に1-8と敗れたが、確かな一歩を踏み出した。
 「一昨年も中信大会でベスト4まで行けた。日々の練習の積み重ねで、着実に力をつけている」と鳥羽健一監督。中信地方には、松本市や塩尻市の強豪がひしめく。その中で平日も含めた週3回の練習と、保護者やOBらによる12人体制での指導によって徐々に力をつけてきた。

 一方、県大会ではレベルの差も痛感した。高橋主将が「流れを持っていかれる時間が長かった」と言えば、副主将の荒川倖成も「相手はすごく声が出ていた」と続ける。そうした貴重な経験を経た今年は選手間投票の末、高橋が新主将に就任。「相手がビビるくらいに、みんなで声を出せるチームになりたい」と意気込む。

 今年は新型コロナの影響で、始動が大幅に遅れた。本来なら冬場でも屋内練習を行うものの、まん延防止等重点措置の度重なる延長により、約2カ月間の活動休止。選手たちは指導者から提示された個人メニューに励み、3月8日にようやく再開を迎えた。「今まで積み上げてきたものが崩れてしまう怖さはあった。一からやるくらいの気持ちでやらないと、上の相手には勝てない」。高橋主将は決意を新たにする。

 チームのスローガンは「一笑懸命『初戦突破、限界突破』」。引退した6年生のアイデアも得ながら、選手たちで決めたという。笑いながら楽しく、それでもひたむきに――。県大会で飛躍した先には、より一層の楽しさが待っているかもしれない。

【左】荒川倖成 副主将 【右】高橋幸翔 主将

鳥羽健一 監督

 コロナ禍で個人練習を課していたが、ようやく合同でできるようになった。「一笑懸命『初戦突破、限界突破』」というチームスローガンは、みんなで笑って一生懸命に頑張るという良い旗印だと思う。“初戦突破”については、「県大会だけでなく、どの大会でも初戦を突破する」という意味を付け足した。ただ大会に出るだけでは意味がないので、一戦一戦を大事にしてほしい。ただ、楽しさを忘れてはいけない。楽しいという漢字は「楽」と書くが、決して楽ではない。本当の楽しさがどこにあるのかを自分で見つけてほしい。

取材・撮影/田中紘夢