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【岡谷東高等学校 スケート部】 岡谷東から世界へ 幼なじみの3人が駆け抜ける

岡谷東高スケート部が2021-22シーズン、少数精鋭で好成績を収めた。スピードスケートの北原伊織は1月のインターハイで500メートルを制し、その後の国体も短距離2冠を果たした。宮下歩夢・心夢の姉妹はショートトラックが中心で、心夢が国体1000メートル2位。3年生が引退して残ったこの3人は幼なじみでもあり、切磋琢磨しながらさらなる高みを目指している。
 新部長の北原はインターハイの500メートルで40秒23とし、2位の野明花菜(岡谷南)を100分の5秒差でかわして制覇。1000メートルは2位となったが、短距離2種目で存在感を放った。来季に向けては「世界ジュニア(選手権)に出ることと、県の高校記録を更新すること。出場する全ての大会で1位を獲りたい」と意欲に燃える。


 インターハイは宮下姉妹も含めた3人でチームパシュートにも出場。県勢としては3位の東海大諏訪に次ぐ6位に食い込んだ。「作戦をしっかりと立てて、スタート直後も滑りながら声をかけていた。誰かが置いていかれることもなく、思っていた以上の成績が出せた」と北原。3人は諏訪市四賀小時代から同じで「なんでも言い合える仲」だといい、チームワークは折り紙付きだった。
 普段は中南信地方のジュニアから高校年代までの選手たちとトレーニングに励む。小澤竜一コーチは「まずはしっかりと目標を持たせて、その目標に何が必要なのかを考えさせることを大事にしている。一流選手の動きを早い段階から身に付けさせ、そこに筋力面や体力面を上乗せして伸ばしている」と話す。


 この環境で他校の選手とも切磋琢磨した。過去には3月の世界大学選手権男子1500メートルを制した三井晃太(専修大)も同じリンクで練習。都市大塩尻高に在籍しながら、北原とともに氷上を滑った。「伊織は彼の行動を追いかけて自分と向き合い、他人に流されることなく練習するようになった」と小澤コーチは言う。

 宮下姉妹はショートトラックを軸に躍進を期す。スケート界の姉妹――と言えば、ともに金メダリストの髙木菜那・美帆が有名で、小澤コーチは「髙木姉妹は妹(美帆)の方がしっかりしているが、宮下姉妹は姉がそういう役割で、妹は天真爛漫」。そんな2人が北原と手を取り合い、来季からは新入生も交えてリスタートする。
 同校にはともにショートトラック女子の酒井裕唯(バンクーバー、ソチ五輪代表)や田中千景(長野、ソルトレークシティ、トリノ五輪代表)、スピードスケート男子の上條有司(ソチ五輪代表)らを輩出した実績がある。彼女たちがそれに続くことを願うばかりだ。

取材・撮影/田中紘夢