岡谷南部中学校陸上部が、着実に成果を残している。2025年7月の第71回全日本中学校通信陸上競技長野県大会。男子共通200mB決勝で佐藤叶寅が全国標準記録を突破して全国大会へ出場した。その他、第64回長野県中学校総合体育大会夏季大会では男子共通110mHで大森琥明が優勝、女子共通1500mで田畑真子が2位となり、北信越大会へ進出した。

現在の陸上部が発足したのは2011年。既に消滅していた陸上部を当時の生徒2人が「陸上部をつくりたい」と復活を希望したのがきっかけだった。当時は保護者が当番制で大会準備等を請け負っていたが、2015年の市町村対抗駅伝と長野県縦断駅伝のメンバー入りを果たして、部活動へ昇格した。
現在部員は1~3年生まで29人。種目ごとのブロックに分かれ、シーズン中は基本週5日、冬季期間は週4日の練習に汗を流している。

顧問として指導にあたるのは村松康平教諭。自身も小学生から大学生まで陸上競技に打ち込み、学生時代は混成競技にも取り組んだ。「その経験を生かして、少しでも生徒たちに還元できれば」との想いを持つ。
村松教諭は陸上部の特色をこう語る。「上位大会出場を目標に高い志をもって活動している選手、大会に出場して自己ベスト更新を目指して活動している選手、体力を向上させて、学校外で活動している競技に生かせることを目的にしている選手など、様々な目的をもった集団であり、難しさもあるが、多くの生徒が陸上競技を楽しみながら活動している」。

指導では「様々な目的をもった生徒が集まって活動をしている陸上部なので、それぞれの目的に合った練習や指導内容を考えている」という。
箱根駅伝に憧れ、入部を決めた部長の花岡圭悟は「駅伝で県大会まで進出し、チームのベスト記録を更新できたことが良かった」と笑顔を見せる。マウンテンバイク(MTB)競技のための体力向上を目的とする小池梓悠は「陸上の大会には出場していないけれど、部活動で体幹や筋力アップのトレーニングを続けたことでMTBでも力をより発揮できるようになった」と自身の成長を口にする。
中学2年生の時に野球部から転部した藤森裕士は「陸上部も練習は集団で行うが、チームスポーツの野球とは異なり、本番は自分との戦い。今年の南信大会では、自分では難しいと思っていた1500m5分以内という目標を達成できたので、諦めずに陸上を続けてきて良かったと思っている」と口元をほころばせた。
生徒たちが共通して口にするのは、村松教諭が伝え続けた「言霊」の力。「自分が最悪だと口に出せば、本当に最悪になるし、自分は最高だと信じていれば、本当に最高な人になれる」。教諭の言葉に励まされ、自分との戦いに打ち勝ってきた選手たち。


「小学生の頃に体を動かすことが好きだったのと、副部長の畠山くんに誘われて陸上部に入部した」という蟹澤悠矢。「中学校ではあまり大会へ出場しなかったけれど、目標をクリアできた時はとても達成感があった。高校でも陸上競技を続けて、これからは大会にも積極的に出場したい」と語るその姿には、明るい未来への期待を感じさせた。
【部長 花岡圭悟 さん】
陸上競技は自分との戦いなので、中学1年生から努力を続けてきたことで、自分と戦う力はついたと思います。部長としても、一人ひとり競技は違いますが、全体をしっかりとまとめることを心がけ、全員が強くなれることを目指して引っ張ってこられたと感じています。

【副部長 畠山仁 さん】
県大会では400mリレーに出場し、予選で終わってしまったけれど、ベスト記録が出せたので満足しています。自分はメンタルが弱くて、時にはくじけそうになったこともありますが、村松先生のおかげでもっと走りたいと思い、続けることができました。

【顧問 村松康平 教諭】
自分の目標に向かって努力し続けられる生徒、陸上競技を楽しいと思える生徒になってほしいと願うと同時に、練習に向かう姿勢、礼儀、仲間との関わりが周りの人にどう映っているかを自問し、応援される人間にふさわしい人に成長してほしいと思います。

取材・撮影/児玉さつき
