地域スポーツ

【信州大学全学サッカー部】    「自治力」で築くサッカー    北信越1部で奮戦

信州大学全学サッカー部が今季、北信越大学リーグ1部に参戦している。Jリーグに選手を輩出する新潟医療福祉大や松本大など強豪私立に苦しみながらも、自主自律のチーム運営で1部定着を目指す。柴田嘉生主将は「1部定着のためには私立にも勝っていく必要がある。好きでサッカーをしているからこそ、勉学と両立しなくては」と力を込める。

 専門の指導者は招かず、学生自治のみでチームを運営してきた。練習メニューの組み立てや戦術分析をはじめ、練習場の確保や用具の管理、広報などの役割も各部員が分担。遠征の際にはホテルの手配や運転手の確保も自分たちで行う。高校までとは全く異なる環境でも、「自分たちで全部できるのはやりがいでもある」と新入生の河野太郎。活動方針はまず勉学優先だが、決して息抜きに漫然とプレーしているのではない。


 チームを束ねつつ、監督として采配も振るう柴田は「プロを目指す人は私立大に進学するけど、僕たちはそうじゃない。勉強しながら、それでもサッカーを続けたい人が集まる。本当にサッカーが好きなら、やり方を一から考える場所になる。深く考えることでますます好きになっていける」と語る。


 3年生エース岡澤亮太も、その手法に共鳴する。「サッカーをやっているからこそ生活にメリハリが生まれる。練習のない日に課題を進めたり、時間の使い方を工夫したりする」と話す。高校まではAC長野のアカデミーに所属。将来を考えて信州大へ進学したが、「サッカーは生活の一部で、アイデンティティの一つ。あきらめないし、やっているからには中途半端にしたくない」という。


 部員は約40人。昨季は北信越2部で1位となり、上位4チームによるプレーオフで2位となって昇格を決めた。折り返しの第7節を終え、1分5敗の未勝利と厳しい状況。たとえ黒星続きでうなだれても、「負けて当たり前とは思いたくないので、それがモチベーションにもなっている。自分たち主体で勝つ。環境を言い訳にはしないし、『どうやったら勝てるのか』と工夫しながら戦う姿を見てほしい」と岡澤。単なるチーム作りにとどまらない「自分たちのサッカー」をくみ上げ、各々の意志で道をひらいていく。

取材/佐藤春香