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【佐久長聖高等学校女子硬式野球部】県内2校目の女子野球部 元プロ選手が指導

佐久長聖高に今春、県内2校目となる女子硬式野球部が設立された。チームを率いるのは、現役時代に西武ライオンズや広島カープなどでプレーした野々垣武志監督。部員の多くは初心者だが「やるからには甲子園に向かっていければ」と、遙かなる聖地に憧れながら日々のトレーニングに汗を流している。
 野々垣監督は昨年、埼玉西武ライオンズ・レディースの打撃コーチを担当。女子野球での指導経験が買われ、佐久長聖で初代監督を務めることとなった。自身は奈良県出身だが、「西武時代は巨人との2軍戦でよく小諸に行っていた。すごく景色がきれいで、良い環境だと思っていた」と長野県との縁を明かす。
 8月1日現在の部員数は6人。このうち4人は初心者で「ボールを握ったことがない子もいるので、握り方から教えている」という。群馬県出身の樺沢愛七海コーチとともに、地域のグラウンドを転々としながら指導に励む。


 取材時に“日替わり主将”を務めた渡辺みゆは、中学1年生と小学6年生の弟2人に影響を受けて高校から野球を始めた。「男子に交ざると力の差がありそうだったけど、女子だけなら頑張れば上に行ける気がした」。経験者である菅谷美葵と松村静華が牽引しながら、6人で切磋琢磨する日々。「少しずつ打てるようになったり、キャッチボールができるようになったり…。そうやって成長を感じられるのが楽しい」と笑みをこぼす。
 チームの特徴は明るさ。練習メニューは限られるが、何事も楽しむ姿勢を忘れず、グラウンドには笑顔が絶えない。その上で「やるときはしっかりとやる」と渡辺。人数の少なさゆえにマンツーマンで指導を受ける時間も多く、着々とレベルを上げている。


 今夏には男子が全国高校選手権長野大会で優勝。渡辺は決勝をテレビ観戦して「やっぱりうまい」「あれくらいできたらかっこいい」と感銘を受けたとのことだ。また指揮官は「まだまだ程遠いが、女子にも甲子園がある。いつかそういう日が来れば」と夢を見る。
 今年は練習を主に下積みを重ね、女子野球リーグ「ヴィーナスリーグ」への参戦を目指す。実現すれば上級生との厳しい戦いが予想されるが、「まずは1勝できれば」と指揮官。女子野球は昨年末でプロリーグが無期限の活動休止になるなど、競技を取り巻く状況は決して順風満帆ではない。それでも選手に向け、野々垣監督は「これから日本を支えていくような存在になってほしい」と期待を込めながら指導に打ち込む。

野々垣 武志 監督

選手たちは野球が好きで、楽しくプレーしています。高校の勉強にもしっかりと取り組んでいますし、それに加えて野球でチームプレーが学べるのは良いことだと思います。やるからには甲子園へ行けるように頑張りたいです。

渡辺 みゆ 主将

いつも楽しくプレーしていますが、やるときはやるチームです。監督の指導もわかりやすくて、少しずつ上手くなっています。来年は経験者も多く入ってくると思うので、下の子たちに負けないように頑張りたいです。

取材・撮影/田中紘夢