地域スポーツ

【上田FCフィリア】東信に新たな風 女子サッカー選手の受け皿に

上田市を拠点とする新たな女子サッカーチーム「上田FCフィリア」が3月、誕生した。東信地方における女子選手の新たな受け皿として機能したい考え。「運営、成長、普及」という三本柱を軸に、女子サッカーを生涯スポーツとして楽しめる環境を整えようとしている。

 県全域を見渡すと北信地方にはAC長野パルセイロ、中信地方には松本山雅FCの女子チームがある。だが、東信地方は女子サッカー選手の受け皿が多くない。高校生になれば佐久長聖高や上田西高という選択肢も出てくるが、小中学生のプレーできる環境が存在しなかった。「少年団の中にも数人は女子がいる。彼女たちから『サッカーを続けたい』という声が多く聞かれた」と小林弘幸代表。それを受けて昨年8月から小中学生の選手を募集し、チーム立ち上げに至った。


 コンセプトは運営、成長、普及の3つ。競技に特化した指導者だけでなく、IT経験豊富なスタッフも配置し、効率的かつ持続可能なクラブ運営を心がけている(運営)。また、ホームページやSNSでの発信に力を入れながら、アディダスの「HER TEAMプロジェクト」にも参画。メンバー募集やユニフォーム制作のサポートを受け、ブランディングを推進している(普及)。
 現場でチームを率いるのは、育成年代の名門クラブ・三菱養和SCジュニアユースなどでプレーしていた兵頭鉄也監督。以前も上田市で指導に励んでいたが、「女子は中学になるとサッカーを続ける環境がなくなってしまう。いつかチームを作りたいと思っていた」と小林代表と思いが重なり、監督を引き受けた。

 小学生はドリブル、中学生はパスとトラップに重きを置く。発足1年目で公式戦の場は少ないものの、上田西高女子サッカー部とも連携しながら経験を積む。小学3年からサッカーを続ける中武ひなた主将は「明るくて仲の良いチーム。できるだけ試合で勝ちたい」と声を弾ませた。


 「もちろんWEリーガーやなでしこにもなってもらいたいが、プロ以外にもサッカーの道はある。長くサッカーに携わってほしいし、その場所を作っていければ」と指揮官。トップレベルで活躍できる選手を育成しつつ、卒団した選手を指導者として受け入れる体制も整えていく構えだ。


 また現在は、ジュビロ磐田レディースのユース出身で信州大に通う女性アシスタントコーチも在籍。指導者も含めてサッカーを続けられる場を提供するのが目的で、それをすでに少なからず実現している。上田市で始まった小さなプロジェクトは、信州女子サッカーの発展に大きな役割を果たすかもしれない。

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取材・撮影/田中紘夢