2025年11月8日から9日にかけて、安曇野市マウンテンバイクコースで「ダウンヒルシリーズ2025 第8戦」が開催され、全国から約100名のライダーが集結。シリーズ初開催となる安曇野大会は、「DOWNHILL SERIES—HARD LINE—」とサブタイトルが付けられるほどの難関コースとして注目を集めた。

ダウンヒルシリーズを主催する中川裕之代表は、この大会を「旅するサーカス団のようなもの」と表現する。自分たちの山を持たず、全国各地の既存コースに機材や装飾を持ち込み、週末だけプロ仕様のレース会場に変える独特のスタイルだ。「普段は静かなローカルコースが、週末だけお祭りのような非日常空間になる」と中川代表は語る。
この競技は、2kmの短距離を一気に駆け下りる個人タイムトライアル形式。スタートゲートからタイヤが離れた瞬間から、フィニッシュラインの光電管を切るまで、1,000分の1秒単位で厳密に計測される。「アグレッシブで重力系のスポーツ。いかにカッコよく下るか、選手それぞれのスタイルを競う」と見せる要素も重視している。

最大の特徴は、全日本チャンピオン経験者からローカルライダー、ビギナーまでが同じコースで競い合える懐の深さだ。全国を転戦するライダーもいれば、地元開催の時だけ年に1回参加するライダーもおり、世代や地域を超えた交流の場となっている。
大会当日は雨天で路面はマッドコンディションとなる場面もあり、選手たちに厳しい条件が課された。2kmの全長を誇るコースは、高速で飛ばすタイプではなく、細かく曲がりくねったテクニカルなレイアウトが特徴。元オリンピアン・小林可奈子氏が造成に関わったこのコースは、参加者から「シリーズ屈指の難易度」と評された。

キッズクラスで優勝を果たしたのは、東京都から遠征してきた宇宿綜一郎くん。昨年から本格的にダウンヒルシリーズに参戦し、今回で通算6戦目という成長株だ。「下っている時がめちゃくちゃ気持ちいい。ガタガタしているのが楽しい」と語る一方、「最初は怖かったけど、練習して怖くなくなった」と素直な感想を述べた。地元ではなく、白馬や安曇野など各地に遠征してトレーニングを積む宇宿くん。レースで知り合った年上の選手たちと一緒に練習し、引っ張ってもらう環境が成長を支えている。試走中には自転車の部品が折れて棄権を余儀なくされる選手もいるほどのハードコースを、見事に制した宇宿くんの活躍は、世代を超えたダウンヒルシリーズのコミュニティの強さを物語っている。

今回の安曇野大会は、会場のキャパシティやインフラを確認するテスト開催の側面もあり、来シーズン以降の継続開催にも期待がかかる。



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