充実したスタッフ陣のもと、県内有数の街クラブとして精を出している、中南信地域を拠点に活動するシーガルズジュニアバスケットボールクラブ。2017年の創設以降、2018年に月刊バスケットボールカップのチャレンジリーグで優勝するなど好成績を収めている。
チームを率いるのは、岡谷市出身の山田隆ヘッドコーチだ。岡谷北部中と東海大三（現東海大諏訪）高で全国大会に出場し、引退後は小中学生の指導にあたる。その中で「中学の部活動は夏休みを前に引退してしまうが、高校に行っても競技を続けたい選手が多くいる。引退後も若いエネルギーを生かしてほしかった」とクラブチームの創設を決意。部活動を引退した3年生を集い、次世代の育成に励み始めた。
すると2年目に早速成果が現れた。全国からチームが集う月刊バスケットボールカップのチャレンジリーグで決勝に進み、ガウチョーズバスケットボールアカデミーB（埼玉）を下して優勝。184cmと長身の両角嘉大らが躍動して頂点に立った。
その両角は卒業後、県内の強豪である東海大諏訪高に進学。チームが全国大会に出場する一方、自身は厳しい環境下で「心が折れることもあった」と振り返る。卒業後にはアシスタントコーチとしてシーガルズジュニアバスケットボールクラブに帰還。「教え子たちには自分のようになってほしくない」とハードなランニングメニューも組み込んで指導し、言葉でも高校年代の厳しさを伝え続けている。
彼も含めてスタッフの陣容は充実している。五味新コーチは関東の強豪・国士舘大学でプレーし、同大学の女子チームで指導経験を持つ。社会人チームの諏訪BLOOMSに所属していることもあり、山田ヘッドコーチから誘いを受けてスタッフに加わった。またBリーグ・信州ブレイブウォリアーズなどでプレーした吉澤周造コーチも力を添えている。
永明中と両立してプレーする塩澤敦也主将は「部活動よりもきつさがあって、フィジカルが伸びた。挨拶や返事も大事にしているので、人としても成長できている」と話す。県外遠征を通して全国のレベルの高さも味わい、「高校に行ったら全国で通用する選手になりたい」と思い描く。
山田ヘッドコーチにとっても教え子の飛躍は本望だが、「必ずしも全国大会を目指してほしいとは考えていない」と言う。「彼らのバスケット人生はまだまだ長い。全国のレベルはわかっているはずなので、自分に合った選択肢で続けてもらえたら」と願いを込めた。
【塩澤 敦也 主将】
【山田 隆 ヘッドコーチ】
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取材・撮影／田中紘夢
