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【ゴルフティーチングプロ】   万能スポーツマンが展開する新スポーツビジネス!全国に広がる「i8 GOLF」 生みの親

カメラセンサーに顔認証を受けると、自動で出入口の扉が開く。来客は予約していたブースに足を運び、端末にスマホをかざしてコースを選択。投影されたバーチャルフィールドに向かってクラブを振っていく――。
 松本市南松本に今年2月にオープンした「i8 GOLF」。ここでは、近未来のゴルフ練習場といっても過言ではない設備が整っている。会員は24時間365日、好きな時間に好きなだけゴルフ練習ができる。驚くべきは、スタッフがほぼ不在であること。「時代の流れとして、これからは人手が不足する。コロナ禍もあり、人と接触せずにゴルフ練習ができるこの設備を広げたい」。ゴルフティーチングプロの資格を有し、同施設を経営する伊沢透代表はそう話す。

 伊沢代表はゴルフのスタジオレッスンはもちろん、実際のコースで行うラウンドレッスンやスイングフォームを改善するオンラインレッスンなどで人気講師として活躍。その傍ら、国家資格の柔道整復師、福祉施設の運営など、30代にして多業種展開をこなす敏腕経営者としての横顔も持つ。現在の中心事業はi8 GOLFの展開。自ら構築した「24時間無人システム」を特許出願し、下諏訪・松本に直営店のi8 GOLFを、横浜にFCの加盟店を出しているほか、富山と茅野に本年度中に出店を予定している。
 ゴルフビジネスに注力したのは「ゴルフが一番難しいスポーツだったから」と語る。今でこそ文字通りゴルフを仕事にしているが、元々万能スポーツマンとしてさまざまな競技で一定以上の成果を出してきた。
 岡谷市出身。整骨院を営む伊沢家の次男として生まれ、同じくスポーツをたしなむ両親のもと、中学時代までは水泳を中心に陸上や器械体操、テニス、バレーボールを経験。中学のクラスマッチでは、サッカー部やバスケットボール部員を差し置いて得点王をもぎ取った。高校ではバドミントンとゴルフに熱中し、柔道黒帯やスキー1級など人並み外れた運動神経を発揮してきたという。
 そんな伊沢氏が「難しい」と唸ったのがゴルフだった。「どうして止まっているボールを打てないんだ!?思い通りに飛ばないんだ!?って思いました」と笑いながら振り返る。家族がゴルフをすることもあり、高校3年生から本格的にゴルフをスタートした。当初は苦慮したものの、持ち前のセンスを発揮してわずか3カ月でスコア70台。国体成年男子の選手にも選ばれた。
 高校卒業後は柔道整復師の資格取得のため名古屋の専門学校へ進学。帰郷してからは実家の整骨院で働きつつゴルフを楽しんできた。その中でティーチングプロの資格を取り、独立を経て2018年に(株)信州開発研究所を起業。現在のi8 GOLFの全国展開に至っている。
 伊沢氏は「自分がスポーツをするのも面白いですが、仕事にする過程にも楽しみがある。今はこの事業を5年で50店舗達成できるように頑張りたい」と白い歯を見せる。ゴルフが本心から大好きだからこそ、ビジネス発展にもおのずと熱が入るのだろう。


■プロフィール
ゴルフ・ティーチングプロ
伊沢 透 TORU IZAWA
(いざわ・とおる)
長野県岡谷市出身。1986年6月18日生。
株式会社信州開発研究所CEO。ゴルフティーチングプロ/ドラコンプロ、柔道整復師。県内外に24時間無人ゴルフ練習場「i8 GOLF(アイエイト・ゴルフ)」を展開する。

取材/生田和徳