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【サームFCジュニア】「結果」と「育成」を追い求め 佐久地域で奮闘

「育成年代では『勝つこと』と『育てること』の2つがよく言われるが、どちらも諦めないでいきたい」。サームFCジュニアの春原信行総監督は、そう理念を語る。
 1999年に設立されたクラブチーム。小諸市と軽井沢町の選手を中心に構成し、その多くはU-12チームからU-15チームに昇格する。「基本的には9年スパンという長い目で見ている。小学校では土を耕して、中学で花が咲いてくれれば」と春原総監督。星稜高(石川)で主力として活躍する塩川晴也(2年)をはじめ、全国の強豪高に巣立ったOBも数多い。

 小学生年代では、技術の習得に重きを置く。春原総監督は「中学に上がるとボールやゴール、ピッチが大きくなるので、その前にしっかりとボールを蹴れるようになれるか。小学校のときに鉛筆の持ち方をきちんとやっておけば、その後にいい絵も描けるはず」と青写真を描く。スタッフは全員ボランティアだが、指導者や審判のライセンスを取得して選手とともに研鑽を積む日々。必ずしもサッカーが盛んとは言いがたい佐久地域において、貴重な受け皿としても機能している。

 最大の目標は、全日本U-12選手権大会長野県大会での優勝だ。昨年は初戦となる3回戦で、伊那少年サッカースクールSSに1-2と敗れた。最高成績は2016年と2018年の準優勝。リーグ戦も含めて県大会での優勝経験はないが、「長野県は群雄割拠になっていて、どこが獲ってもおかしくない。先輩たちの映像を見せて奮い立たせることもある」と春原総監督は言う。U-12チームを率いる小林大介監督も「スタッフは勝ちよりも大事なものを忘れてはいけないが、選手たちには勝ちにこだわってやってほしい」と期待を込める。

 6年生にとっては集大成となる舞台。石黒主将は「優勝に向けて練習していて、もちろん自信はある。みんなでいい思い出を作りたい」と士気を高める。将来については「海外でプレーしたい」と強調。クラブとして結果と育成の「二兎」を追い求めた先に、2人目のJリーガー、そして海外に羽ばたく選手が生まれるだろうか。

取材・撮影/田中紘夢

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