地域スポーツ

「パルセイロ」の名を冠した練習場 飯綱で育つ若獅子たち

AC長野パルセイロU-18には、恵まれた環境がある。昨年5月にオープンした「いいづなパルセイロフィールド(飯綱町サッカー場)」だ。同グラウンドを含む「いいづなコネクトWEST」は、旧牟礼西小学校の校舎をリフォームして建設された。スポーツの拠点としてグラウンドだけでなく、ジムや体育館、更衣室、食堂なども利用できる。

チームは4月から週1回、ここで汗を流している。2チームがグラウンドとジムに分かれ、1時間で交代。1日で実戦練習とフィットネスの両方をこなし、練習後は食堂で夕食をとる。キャプテンの岡澤亮太は「ジムで器具を使うことは、試合に向けての調整や筋力アップにつながる。その後もすぐに夕食がとれるので、疲れが残りにくい」とメリットを挙げた。

普段は千曲川リバーフロントスポーツガーデンの天然芝で練習しているが、高校年代の公式戦は人工芝が多い。いいづなパルセイロフィールドは、少年用8人制コートではあるものの人工芝。週末に向けてピッチの感覚をつかむことができる。また、LED照明柱が8基と、夜間照明も充実している。

チームを率いるのは、トップチームで10年間プレーした宇野沢祐次監督だ。“ミスター・パルセイロ”の愛称を持つ指揮官は「練習後にすぐに食事ができるチームと、そうでないチームでは、選手の体つきが違う印象はある。フィジカルを改善するための良い一歩になっている」と食事を重視。地元の女性が働く「とちのき食堂」のメニューは、栄養バランスが整っている。ボリュームも満点で、食べ盛りの選手たちに好評だ。

飯綱町は人口約13,000人の小さな町で、豊かな自然が広がっている。宇野沢監督が「周りが静かなので、より集中できる」と語るように、練習場には一切の雑音がない。また、標高約500mで、夏は涼しさを感じられる。積雪が多い冬は、体育館を活用するのも得策だろう。

いいづなコネクトWESTの加藤貴彰校長は、高校までサッカー選手だった。いちサッカーファンとして「ここで過ごした子どもたちが将来、トップチームで活躍してくれればうれしい。そうでなくても、また遊びに来たり、子どもをユースに入れて一緒に帰ってきてくれれば」と思いを馳せる。

とはいえ、アカデミーの最大の目標は、トップチームに人材を輩出することだ。AC長野U-18は設立から7年と歴史が浅く、これまでトップ昇格は小西陽向(2019年)のみ。この恵まれた環境を生かしながら、若獅子の育成を加速させていく。

<取材・撮影/田中紘夢>