J3で10年目となる今季こそ、悲願のJ2昇格へ――。シュタルフ監督は就任1年目の昨季、ボールを保持し、主体的に攻めるサッカーをチームに植え付けた。
ただ、積年の課題の決定力不足を解消することが出来ず、昨季は、J2に昇格した2位・藤枝と勝ち点15の大差をつけられて、8位に沈んだ。シュタルフ監督は「昨季は内容と結果がリンクしなかった。(元日本代表指揮官の)オシムさんが“サッカーは強い方のチームが勝たないスポーツ”と言っていたが、そういう気持ちでスタジアムを後にすることが多かった。ふがいない気持ちでいっぱい」と振り返る。 J2昇格のために、まずは決定力不足解消が急務。「いちばん早いのは、お金を使って決定力のある選手を連れてくること。だが、我々はそれをやらないので、育てるしかない。たくさんシュート練習をして、決定力を上げていく。地道な作業だけど、効果は絶対に表れる。今季はチームコンセプトがある程度浸透しているので、決定力の向上や、個の部分のアプローチに時間が割ける」。その言葉どおり、2月の御殿場キャンプでは、ゴール前の崩し、個々の技術の向上に多くの時間を割いた。 選手たちも、今季こそ昇格をつかみ取ろうと燃えている。その中でも、特に並々ならぬ決意で臨むのがエースナンバーの背番号10を託されたFW山中麗央だ。ホームの長野Uスタジアムにほど近い千曲市出身で、パルセイロの下部組織出身の生え抜き。昨季はルーキーイヤーながら、シーズン途中から主力に定着して6得点をマークした若武者は「宇野沢選手や東選手といった、すごい選手が着けていた番号。自分も負けない活躍をして、1試合でも多く、自分のゴールでチームを勝利に導いていけるようにしたい」と意気込む。 J3は今季、昨季より2チーム増えて、20チームで争い、シーズン38試合の長丁場。シュタルフ監督は「一試合一試合、サポーターから楽しかったと言われるゲームを見せて、トップ2に入りたい。今年こそサポーターの皆さんの夢をかなえるべく、強い覚悟を持って、オレンジの志を胸に戦っていく。選手たちには、僕らの力でこのチームをJ2に連れて行かないといけないと話した。 (J3で)10年間、昇格できなくても心折れずにスタジアムに足を運んでくれる人たちのためにも、過去最強のチームをつくって、自分たちの限界、壁を突き破りたい」と決意。今季こそ、〝限界突破〟で上のステージへ駆け上がる。
プロスポーツ