AC長野パルセイロは11月22日、2022シーズン総括記者会見を行った。至上命題であるJ2昇格は果たせなかった一方で、「多くの人々に喜んでいただけるような内容のフットボールができたのではないか」とシュタルフ悠紀リヒャルト監督。就任2年目となる来季に向けて「内容が結果とリンクするシーズンを送りたい」と誓った。
今季は内容と結果が比例しない試合が多く見られた。その最たる例が第31節、松本山雅FCとの信州ダービー。26分に先制を許したものの、すぐさま反撃に転じて相手の流れを断ち切る。後半は開始から圧倒的にペースを握り、63分に三田尚希のゴールで同点。その6分後には山中麗央がフリーでGKとの1対1を迎えたが、シュートはわずかに右へ。勝ち越しのチャンスを逃すと、終盤にカウンターから決勝点を献上し、1-2と敗れた。
「その前に自分たちで決められるチャンスが何回もあった」と水谷拓磨主将。このように内容で上回りながらも勝ち点を逃した試合は、挙げればキリがない。最終節はホームで藤枝MYFCに0-0と引き分け、目の前でJ2昇格を決められた。シュタルフ監督は総括会見で「藤枝にあって長野になかったもの」を問われると、「チャンスを決め切る力」と断言。それは18チーム中8位という結果にも表れていた。
課題は明白とはいえ、一筋縄に解決できるものでもない。既存戦力の育成に力を入れつつ、「クオリティを持っている選手を、コストを抑えた中でも数枚獲得したい」と町田善行社長は言う。
今季最前線を争ったのは、宮本拓弥と山本大貴。宮本は開幕3試合で2得点と出だしこそ順調だったが、終わってみれば4得点と苦しんだ。一方の山本は9得点とキャリアハイを記録したが、2度の負傷離脱にも苦しみ、先発は34試合中18試合に留まった。来季はシーズンを通しての出場と、自身初の2桁得点に期待がかかる。
上位陣には軒並み2桁得点を奪ったストライカーがいる。いくら組織で崩しにかかろうとも、最終的に仕留めるためには個の力も必要。他クラブからクオリティの高い選手を迎え入れつつ、大卒1年目で6得点を挙げた山中麗央のように、若きヒーローの登場も求められる。
得点力不足が響いたシーズンだったが、裏を返せば決定機を創出することはできている。シュタルフ体制1年目で築いたベースをもとに、来季はさらなる結果を求める構えだ。
取材/田中紘夢