高校スポーツ

目指さないと始まらないのが「日本一」オンリーワンの価値を目標に!

築何十年か、歴史と趣を感じる練習場の門をくぐると威勢の良い掛け声と共にピンポン玉の軽快な打音が聞こえてくる。「こんにちは!」と、その場で練習の手を止めた全員がこちらに挨拶をしてくれたのには、いささか恐縮してしまった。

松商学園高校卓球部は、昭和20年に創部された伝統ある部活動で、県下有数の名門だ。現在は3年生5人、2年生8人、1年生7人、計20人(男女)の部員で活動している(取材時)。同校の教諭やOB・OGら数名のコーチが指導にあたり、監督を務めるのは今年12年目となる体育科の奥野太郎教諭。日本体育大学を卒業後に地元の九州や東京等各地で卓球の指導者を務め、前任の監督の誘いで初めて信州の地を踏んだ。「東京五輪で注目されたように、あの選手たちの若い年代で既にエリート揃いの世界。そこに勝ちにいかなかればならないので、とても厳しい所があります」。そう実感を込めて話す奥野監督は自校の練習について「練習は厳しいが、必ず強くなる練習」と形容する。平日は放課後午後4時~7時、土日は午前9時~午後6時までと、文字通り卓球漬けの毎日になるという。さらに重視するのは生活面や競技者としての姿勢だ。「もう今の時代に珍しい部活かもしれませんね(笑)、でも我々が目指す日本一は“優勝”にこだわったものではありません。練習が日本一でもいいし、挨拶が日本一でもいい。それが本物の優勝に繋がっていくと思っています」と、唯一無二の日本一を掲げていると話してくれた。


奥野体制の同部はこれまでに3度の全国ベスト16をはじめ、昨年12月に行われた第49回北信越大会では、男女共に3位入賞し全国選抜への出場を獲得した。また10月の全日本卓球選手権大会長野県予選会において女子ダブルス(増田華・岡野華奈)が優勝、女子シングルスでも2年生の岡野華奈さんが優勝するなど、今年1月24日から行われる全日本卓球選手権への切符を手にしている。奥野監督は「勝つことが最もいい練習」だと言う。同校卓球部は、全国大会でも目指す日本一に向けて最高の練習を積み上げることだろう。

【女子キャプテン】岡野華奈さん(2年)
プレーでは速い打点を意識しています。短所をカバーできるように長所を伸ばす練習に取り組み、全日本ではベスト8以上、インターハイでも結果を出したいです!部員も優しくてしっかり者が多いので、不甲斐ない私をサポートしてくれて感謝です!

【男子キャプテン】松原健也さん(2年)
小学校1年から卓球をしてきましたが、高校に入って一気に実力が上がりました。常にチャレンジャーの気持ちで前向きに取り組んでいます。チームは先日の北信越で結果を出してから雰囲気が変わり、より気合が入っています。日本一を取りたいです!

【監督:奥野太郎さん】

取材・撮影/生田和徳