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波乱のリーグ滑り出し       “春到来”へ忍耐続く

想定外の苦しいスタートとなった。4年目のJ3開幕を迎えた松本山雅FCは、序盤戦で3試合を終えた段階で2分1敗の未勝利。長期離脱のケガ人が複数出る事態にもなった。さらに3月16日のホーム開幕戦はAC長野パルセイロとの「信州ダービー」だったが、積雪の影響で中止。きっかけとなる「初白星」が、近いようで遠い。

 早川知伸監督が就任したシーズン。過去2年はヘッドコーチなどとして山雅に携わっており、長所も弱点も知る立場だ。それを踏まえ、キャンプでは攻守の切り替えや守備の整備に注力。それを実現するフィジカルの土台も含め、鍛え上げてきたはずだった。
 しかしアスルクラロ沼津とのシーズン初戦、続く奈良クラブとの第3節。ともに先制に成功しながらも、終盤で足が止まって失点した。奈良戦では立て
続けにゴールを破られて逆転負け。注力してきたはずの守備で成果が出ず、攻撃も点を取れる手立てを探すのが難しい。


 さらにこの奈良戦でFW安藤翼が全治約8カ月の大ケガで戦線離脱。昨季はチームで唯一全試合に出場したアタッカーの不在により、前線で起点を作ることが難しくなった。さらに試合前ウォーミングアップ中の故障でGK西村遥己も全治約6カ月の離脱。韓国人高卒ルーキーのキムジュンヒョンがサブに入っている。
 奈良戦後、GK大内一生は「エネルギー的な部分が欠けていた。疲れなのか、そこだけなのかは分からないけれど、ゲーム中の時間の使い方も改善していかなければいけない」と指摘。実際に松本市内の天然芝グラウンドが使用できず、第4節テゲバジャーロ宮崎戦までは山梨県まで移動してトレーニングをしていた。連日の移動のほかケア態勢なども勝手が異なり、良好なコンディションを維持するのは難しかったようだ。

 「コンディションを作っていくのがすごく難しい中でも、それぞれ100%の準備をして挑んだ結果があの結果、内容だった」とキャプテンのMF菊井悠介は受け止める。3月12日からは松本市かりがねサッカー場が特例的に使用可能となり、慣れた環境で腰を据えてトレーニングを積んだ。
 しかし今度は積雪のため、信州ダービーのホーム開幕戦が中止。MF安永玲央が「街が誇りを取り戻せるように、期待に応えたい」と話していたように特別な一戦だったものの、肩すかしを食らって仕切り直しを余儀なくされた。
 巻き戻せば鹿児島キャンプも含めて降雪でトレーニング短縮を強いられたほか、不慮のケガ人もかさんで五里霧中の日々。滑り出しから早々に数々の試練に直面しており、一刻も早い“春到来”が待たれる。まず一勝。その積み重ねで暗雲をなぎ払い、頂点を視野に捉えたい。

取材/大枝令