開幕前に掲げたJ2昇格とは対照的に、残留争いに身を置くこととなったAC長野パルセイロ。第37節でなんとか残留を決めたものの、シーズン最終盤でも勝負どころでことごとく勝てなかった。
第35節は残留を争う19位Y.S.C.C.横浜との直接対決。試合前の勝ち点差は「4」で、勝利すれば勝ち点差を「7」まで広げて残り3試合となり、残留に大きく近づく大一番だった。
序盤から一方的に押し込んだのはAC長野。しかし、相手GKの好セーブやポスト直撃などでゴールを割れず、MF西村恭史は「決めていれば楽に進められた」。前半はシュート12本を放ちながら、得点は38分にMF忽那喬司が挙げた1点にとどまった。
DF池ケ谷颯斗の「前半は押していたけれど、そのままいくなんてことはない。絶対に相手の時間が来る」という言葉通り、後半は五分の展開。26分にCKから同点に追いつかれると、さらに立て続けに二つの決定機を許した。GK松原颯汰の好セーブなどで引き分けに持ち込んだが、MF三田尚希主将は「(前半に)2点、3点と取ってゲームを決定づけなければいけなかった」と厳しく指摘した。
八戸との第36節は、一時間早く試合を終えたYS横浜が敗れたため、勝てば残留が決まる状況となった。
八戸は球際に強く、ハイプレスが持ち味で、DF黒石貴哉は「難しい試合になるのは分かっていた」。思うように好機をつくれない中、「我慢比べに負けた」と高木理己監督。後半35分にロングカウンターを浴びると、MF山中麗央のクリアが相手選手に当たって自陣ゴール方向へ。こぼれたところを拾われ、決勝ゴールを決められた。勝負の一戦でミスに泣き、残留は持ち越しとなった。
今季最後のアウェイゲームとなった37節(11月16日)も勝てば自動的に残留決定。八戸戦後の練習でアピールに成功した控え組がスタメンを奪取し、前節から9人を入れ替えた。序盤から出足の鋭いプレスでボールを奪うシーンをつくったが、攻撃で「イージーなミス」(高木監督)を連発。後半36分に豪快なミドルシュートで失点した。
それでも、〝サブ組〟が意地を見せた。「このメンバーで出ている意味を示さないといけない」とMF田中康介。後半50分、右サイドを駆け上がった黒石のクロスはクリアされたが、DF高橋耕平とDF砂森和也がつなぎ、「最後まで諦めずにやれた」と田中が執念の同点弾を蹴り込んだ。勝ち点1を積み上げると、翌17日にYS横浜が敗れ、最終戦を残して入れ替え戦に回る19位と勝ち点5差をつけたAC長野の残留が決まった。
最低限ともいえる残留は果たしたが、自力では残留を決められなかった。さらに、クラブワーストとなる13試合連続未勝利という不名誉な記録は継続中。砂森は「この世界にいる以上、求められているのは結果」と語った。3カ月にわたって勝利を待ち続けるサポーターに歓喜を届けることが、今季のチームに残された最後の使命だ。
プロスポーツ