AC長野パルセイロは前半戦終了時点でリーグワースト3位の33失点。第17~21節までの5試合で計10失点を喫するなど、開幕から解消されない失点癖が目標のJ2昇格への足かせになっている。
高木理己監督が「対策されやすいチームになってしまった」と話すように、YBCルヴァン・カップでJ2徳島やJ1京都を破ったAC長野に対して、ロングボールなどでプレッシングをかわし、陣形を間延びさせようという対策が取られるようになった。最終ラインが後退し、セカンドボールが回収できなくなることで波状攻撃を受け、守備陣がこらえきれずに失点してしまう試合が増えている。失点の内容も、セットプレーやクロスなど〝横のボール〟に対して守備ブロックの内側でシュートを打たれるシーンが多い。
「信州ダービー」となった第19節の松本山雅戦では、今季ここまで採用してきた3ー4ー3から変更し、4ー4ー2という新システムに挑戦。「3ー4ー3のときより良かった」とMF忽那喬司が振り返ったように、セカンドボールの回収という点ではシステム変更に一定の効果は見られた。ただ、セットプレーから先制を許す試合展開に、DF大野佑哉は「同じようなミスを繰り返すのはプロじゃない。練習するしかない」と反省を口にした。
第20節の金沢戦は開始直後に右サイドで与えたFKからファーサイドにボールが送られると、AC長野の選手たちよりも一歩前に出た金沢のDF庄司朋乃也に頭で先制ゴールを決められた。2失点目は前半15分の左CKから。ゾーンディフェンスで守っていたAC長野は、守備範囲の外からニアサイドに走り込まれ再び頭で押し込まれた。序盤で2点を追いかける展開となり、FW進昂平は「あの2点で試合が重たくなってしまった」と悔しさをにじませ、MF古賀俊太郎は「どうしたら失点が減らせるのか…」とつぶやいた。
金沢戦後、「ここがチームの分岐点」と語った指揮官は、セットプレーの守備の改善に着手。それぞれが決められた守備範囲を守るこれまでの「ゾーン」から一人一人がマークに付く「マンツーマン」に守り方を変更した。
第21節の岩手戦では前線で起点となる相手エースのFW都倉賢が出場しなかったことや、CKの守備改善もはまって今季3度目のクリーンシートを達成。ただ、試合前まで33得点を挙げていた攻撃陣が不発に終わりスコアレスドローに終わった。
これで5試合未勝利と苦しむAC長野。システム変更後は3試合で1得点と攻撃の迫力不足が目立つ。GK松原颯汰は「無失点をここからどれだけ続けていけるかが大事」と強調。岩手戦で結果を残した守備陣の奮闘に応えるべく、忽那は「練習でやっていることを試合にいかに落とし込めるか。ここでぶれるようではプロとして生きる価値がない」と力強く言い切った。遠のく白星をつかむために、次は攻撃陣が底力を見せる番だ。
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