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【松本大学男子サッカー部】新生松本大にJの壁 悔しさ痛感 飛躍の糧に

イレブンのパフォーマンスに、松本大学男子サッカー部の齊藤茂監督は「ひと泡吹かせるつもりで臨んだが、力の差があった」。ひいき目に見ても善戦と振り返るには苦しい結果に、素直にかぶとを脱いだ。

 変則トーナメントで行われた第28回長野県サッカー選手権大会の準決勝。松本山雅FCが待つ決勝に進んだのは、AC長野パルセイロだった。
 アマチュアが格上のプロを倒す―。痛快なアップセットは天皇杯ならではの光景。予選でも変わりはない。そこに挑んだ松本大。士気高くサンプロアルウィンに乗り込んだ。
 果たして、結果は0-3。90分間を終えて刻まれたスコアに、驚きはなかった。

 松本大のキックオフで始まった一戦。程なくボールがセンターサークルに戻ってきた。主審のホイッスルからわずか70秒余り。AC長野の攻撃に左サイドを破られ、守るネットが揺れた。
 J3上位を相手に描いたプランは「小差の競り合い」。スコアレスの時間は長いほどいい。「何か違う」「少しおかしい」といった小さな違和感を連ねて心理的重圧を与え、歯車を狂わせる中に勝機を見いだす目論見だった。それが早々に崩れたことが痛かった。

 地力で上回られる相手に試合途中での修正は容易くない。さらに2点を許し、安全圏とされる点差でタイムアップ。試合時間の大半を残してはいたが、最初の1ゴールが結末への針路を決めたと言えるかもしれない。
 結果は言わば順当。それでも胸を張るに値した要素もある。それは「勇敢さ」だろう。

 チームは今季、関東1部リーグの拓殖大学ヘッドコーチだった青木智也氏をコーチに招聘。ボールを握り、魅力ある攻撃的なスタイルを目指す。端緒を開いたばかりながら、相手の速い寄せを確率の低いロングボールで回避せず、自陣からパスをつないで攻め手を模索。両翼の上村陸(総合経営学科3年/静岡学園高等学校出身)と村上慧斗(スポーツ健康学科2年/東海学園高等学校)は果敢に仕掛け、両ボランチに木間皓太郎(スポーツ健康学科3年/松本国際高等学校出身)が絡んで中央突破を狙った。実を結びはしなかったが見せ場にはなった。真っ向勝負を挑んだ心意気も含め「技術があり、つなぐフットボールを志向している」とは敵将の評。賛辞は素直に受け止めていい。

 この一戦のメンバー18人は平均19・3歳。若い陣容にとって、高い基準を体感できた経験はプラスに作用するだろう。全国水準を見据えたチームづくりを進める上で「プロ相手でもやろうとしたことはできた」と北野大和(総合経営学科2年/東京都市大学塩尻高等学校出身)。敗戦の中にも得た確かな手応えを糧に、成長に邁進する。


【齊藤 茂 部長兼監督】