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悔しさを胸にリスタート      “必昇”のシーズンに

松本山雅FCの2025シーズンが始動した。昨季は12月7日のJ2昇格プレーオフ決勝までもつれた末にJ3残留。このリーグで4年目のシーズンを迎える。わずかの差で昇格を逃した無念さを知る面々がほぼ残留したほか、11人が新加入。早川知伸新監督のもと、悔しさを晴らすシーズンとなる。

 「残ってくれた選手たちは、悔しさを胸に今シーズンを全力で戦ってくれると思う。その経験は必ず、今シーズンの一番苦しい時に発揮される。我々選手、スタッフフロントを含めた松本山雅は、全員で昇格をする」
 1月11日の新体制発表会。早川監督はそう力強くメッセージを発した。昨季までは2シーズン、霜田正浩前監督の元でコーチを務めた立場。チームとして積み上げてきたファクターも、不足していた要素も血肉に溶けている。
 「自分がこの2年間感じている中で、個人戦術も含めて原理原則が抜け落ちている選手がすごく多い。そこはまず早急に着手する課題になってくる」。新任の都丸善隆スポーツダイレクター(SD)からは守備の再構築も託されているほか、自身としても規律や基準の徹底などを強く発信する。

 背番号10のMF菊井悠介は今季も残留し、大卒4年目のシーズン。「富山で流した涙や悔しい思いやいろんな感情が、まだ身体のどこかに――特にピッチに立っていた選手はあると思う。その悔しさを一日も忘れることなく、チーム全員で昇格という目標に向けて頑張りたい」と話した。
 昨季まで足掛け11年間所属したGK村山智彦が契約満了でチームを去った。それに伴い、鐡戸裕史―村山と継承されてきた背番号16は今季、DF宮部大己がつける。自ら志願したといい、「サッカーに対する向き合い方、練習に対する姿勢、チームを鼓舞する姿、まさに『漢』そのものだった。 そんな漢に一歩でも近付けるように頑張っていきたい」と決意を語った。

 新加入11人は若手が中心。高卒と大卒の日本人ルーキー3人のほか、育成型期限付き移籍でヴィッセル神戸、アルビレックス新潟、横浜FCとJ1から4選手を加えた。年代別日本代表のDF本間ジャスティンは「自分の価値を高めたいのもあるけれど、チームの勝利が一番。必ず山雅をJ2に上げたい」と力を込めた。
 チームはすでに1月6日に始動済み。松本市サッカー場など近隣のグラウンドでトレーニングを積みながら、1月22〜29日に和歌山県串本町、2月3〜16日に鹿児島県鹿児島市でトレーニングキャンプを行う。

取材/大枝令