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勝負の9月、ホーム3連戦で    浮上のきっかけつかめず

夏場以降、低空飛行を続けているAC長野パルセイロ。勝負の9月になっても浮上の気配は漂ってこない。

8月24日に行われた第25節大宮戦が雷雨のため試合途中で中止。その再開試合が9月11日に組み込まれたことで、9月7日の第27節から8日間で3試合を戦うことになった。ただ、3連戦はいずれもホーム開催。26節終了時点で14位に沈むAC長野は是が非でも勝ち点を積み上げておきたいところで、DF大野佑哉も「3連勝を目指す」と息巻いて臨んだ。

しかし、ふたを開けてみれば3試合で2分け1敗。3連勝どころか1勝すらできなかった。

7日のFC大阪戦は、DF杉井颯が「相手の強みを出させてしまった」と振り返ったようにFC大阪の持ち味である球際の戦いで圧倒された。ロングボールの競り合いやそこからのセカンドボール争いといった空中戦で後手に回ると、1対1でのドリブル突破を何度も許すなど地上戦でも上回られた。主導権を失い、前半のうちに自陣ゴール前でのボールロストやクリアミスから2失点。攻撃でも「チャンスらしいチャンスもつくれなかった」とFW浮田健誠。最後まで反撃の糸口を見つけられず無得点で敗れ、高木理己監督は「今季で一番準備したものを表現できなかった」とこぼした。

中3日で迎えた大宮戦は、後半34分からの再開という前代未聞の一戦となったが、MF小西陽向は「気づいたら終わっていた」と大きな見せ場をつくれずスコアレスドロー

で勝ち点1を分け合った。

3連戦の最終戦を前にJFL降格の可能性がある19位とは勝ち点5差。下からの追い上げを受ける中、同じく下位に沈む奈良戦に挑んだ。

序盤は選手がピッチ上を躍動した。前線から激しくプレスに出て、ボールを奪ったら複数人がゴール前に走り込んでゴールを狙った。ただ、一瞬の隙を突かれ先制を許すと、徐々に勢いを失った。1トップに入ったMF山中麗央は「前から積極的に行っている分、もう少しゆっくりボールを持てれば良かった」と選手同士の〝ズレ〟を口にした。実際、ゴール前でのパスが合わない場面も目立ちシュートまで思うように持ち込めなかった。

後半には小西の今季初ゴールで追いつき、GK松原颯汰の好セーブもあった。勢いを取り戻すきっかけはあったが、ラストパスやシュートの精度を欠き、追加点が遠かった。

開幕当初に掲げた〝昇格〟という目標ははるか遠くにかすみ、残留争いという現実がすぐ後ろに迫っている。小西は「次から一つずつ勝ちを積み重ねていきたい」と語ったが、残り試合数や下位との勝ち点差を見ても〝次〟と言っていられる余裕はもうない。いよいよ正念場だ。