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勝ちきれないAC長野 失点の多さ克服できるか

AC長野パルセイロは今季加入したFW浮田健誠が第8節今治戦(4月6日)までに4試合連続を含む7ゴールを決め、攻撃をけん引。同じく新加入のMF忽那喬司も3ゴールをマークするなど、攻撃陣は8節までの全試合で得点を挙げた。今シーズンに向けてキャンプから取り組んできた攻撃的なスタイルは結果に結びついていると言える。
 ただ、8節を終えて2勝5分け1敗の勝ち点11で順位は8位。波に乗り切れない要因の一つが失点数の多さだ。今治戦までで無失点試合はゼロ。総失点はリーグで7番目に多い11失点で、中でも後半の失点が10点にのぼる。さらにリードしている展開で終了間際に追いつかれる試合が3試合あり、ここまで5引き分けと勝ちきれていない大きな要因だろう。
 第5節の福島戦では浮田、忽那のゴールで今季初勝利を挙げた。引き分けを挟んで迎えた第7節では、首位に立っていた沼津相手に浮田がプロ初のハットトリックを達成し、3ー1で快勝。一気に波に乗るかと思われたが、今治戦では最大2点差をつけながら、試合終了間際の失点で追いつかれて引き分けた。今治戦で移籍後初ゴールを決めたDF黒石貴哉は試合後、「前半と後半でサッカーがガラッと変わってしまう」と課題を口にした。
 今季はリードした試合で、時間がたつにつれてボールを奪っても攻撃につなげられなくなる展開が目立つ。パスがずれたり、前線でキープできなかったりしてボールを奪われ、攻撃を受け続けることで守備陣が耐えきれずに失点してしまう。高木理己監督は「あと一歩頑張ってサポートしたり、少し踏ん張って体を入れてボールを奪ったりすること」と苦しい時間帯での選手のもうひと踏ん張りに期待する。
 DF池ケ谷颯斗は「勝っているときこそ自分たちのサッカーをしなければいけない」と攻撃的なサッカーを最後まで貫く重要性を指摘。浮田は「攻撃は最大の防御にもなる」と話すなどチーム全体で改善を図っている。
 それでも、第2節から第8節まで7戦負けなしという結果も事実で確実に勝ち点を積み上げている。GK田尻健は「負けていないことはポジティブに捉えられる」。高木監督は常々、「アウェーでは、はいつくばってでも勝ち点を拾い、ホームで勝利する」と話しており、選手もスタッフも悲観的には捉えていない。
 「引き分けをポジティブにできるのは未来の試合だけ」とMF加藤弘堅。勝ち点1を価値あるものにするためにも今後の勝利は必要不可欠だ。失点の多さという課題を乗り越えた先に上位進出が見えてくるはずだ。