雪景色の中で春ラン開催
春のランニングシーズンの訪れを告げる「第11回春の松本ランニングフェスティバル」が3月19日、松本市と塩尻市にまたがる信州スカイパークで開かれた。例年、春らしい風景が広がるこの時期だが、今年はまさかの雪景色。それでも県内在住の約940人がエントリーし、本格的なシーズン入りを前に腕試しをするなど思い思いのペースを刻んだ。
スタートの午前8時半前、スタッフらは競技場内の雪かきに追われた。思いも寄らぬ積雪に「春ラン」ではなく「雪ラン」なんて声も。それでも徐々に気温が上がり始めてコース上の雪が解け、無事に開催にこぎ着けた。
信州スカイパーク陸上競技場発着で、公園内を走るコース。10キロとハーフ(21・0975キロ)の2部門が設けられ、コロナ禍ということもあって参加者は県内在住者の19歳以上に限定して実施した。
まずは10キロ部門から。号砲が鳴ると参加者が一斉にスタートを切った。先頭集団のランナーはハイペースで駆け出し、勢いよく競技場を飛び出す。公園内のコースの一部でべちゃべちゃ雪に苦戦する場面もあったが、参加者は懸命に腕を振った。競技場内では和太鼓演奏が行われていて、重厚感のあるリズムがラストスパートを掛ける参加者を後押し。歯を食いしばりながら苦しい表情でゴールするランナーもいれば、走り切って笑顔をのぞかせる人も。それぞれの表情には達成感があふれていた。
そして、最後は約650人がエントリーしたハーフマラソン。信州スカイパークに隣接する信州まつもと空港を背景に、参加者たちはさっそうと走った。あいにくの空模様で北アルプスは望めなかったものの、澄んだ空気が爽快感を際立たせた。
4月17日に開催される長野マラソンに出場予定のランナーも多く参加していた。ハーフの女子でトップだった上伊那郡宮田村の矢澤美紀さん(43)もその一人。春ランには4~5回ほど参加している常連ランナーだ。アップダウンのあるコースだけに「きつかった」というものの「アットホームな雰囲気が好き。長野マラソンに向けて調整できた」と笑顔を見せていた。
冬に逆戻りのような風景の中でのレースに、参加者から「雪の中を走るのは初めて」などの声も聞かれた。一方、開催できたのは朝早くから雪かきや準備に追われたスタッフやボランティアの奮闘があってこそ。参加者の一人は「コロナ禍や雪という難しい中で開催してくれたことに感謝」とねぎらっていた。
10キロの男子トップ
安曇野市の黒岩優斗さん(20)
松本大学の陸上部に所属しています。春ランには初めて参加しました。10キロを走れるコースがあるのは長距離ランナーにとって魅力的です。コロナ禍で大会が次々になくなる中で走ることができてうれしかった。今年は全日本インカレ出場を目指して頑張ります。
10キロの女子トップ
松本市の表知史さん(42)
春ランには5回以上参加しています。今日は曇っていて景色が見られずに残念だったけれど、普段は眺めがよくてすごくいいコース。長野マラソンに出場する予定で、自己ベスト(3時間7分)を更新したいです。でも、とりあえず楽しく走ることができればいいな。